紅の十字架 そのC
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い、非常に不快な雰囲気だった。それは美鈴もどうやら同じらしく、知らず知らずの内に走るペースが速まっていく。
そのペース。蓬莱人の妹紅にとってはそこまでキツくは無いがただの人間のジョルノには少々堪えた。
「ちょ、っと・・・・・・! は、速いですよ二人とも!」
流石に人間を一人抱えて全力疾走が続くわけもなく、次第にジョルノのペースが落ちていく。
「! おい、美鈴! 速いってよ、待とう!」
妹紅の言葉に先頭を走っていた美鈴が歩を止めた。それを見たジョルノはほっと息をつく。良かった、二人に置いて行かれたらもしかすると敵に囲まれたときに大変だった。
だが、美鈴が足を止めたのは妹紅が呼び止めたという理由ではなかった。
「――――ッ!!」
「おい? どうしたんだよ、美鈴――――あ・・・・・・」
美鈴がただならぬ雰囲気で階段の下を見ていた。何事かと思っていた妹紅は同じように美鈴の視線の先を見ると黙った。
「・・・・・・はぁ・・・・・・ど、どうしたんでしょうか? 二人とも立ち止まって・・・・・・」
ジョルノは頑張って走っていたがまだ美鈴の所にたどり着いていなかった。二人が声も出さずに同じ所を凝視しているが、一体何が?
ようやく追いついたジョルノは息を切らしていた。やはり妖怪と人間では体力面で大きく差があるな・・・・・・。帰ったら体力でも鍛えようかな、と思っていたジョルノ。だが、二人と同じように視線の先を見ると、表情が一変する。
「・・・・・・あの」
「・・・・・・おい美鈴。あれって・・・・・・」
「・・・・・・い、いや、わ・・・・・・私がレミリアお嬢様の部屋に行くときは・・・・・・まだ・・・・・・」
「お前がさっき行っていた『見れば分かる』って・・・・・・いや、見ても分からんぞ」
妹紅は視線はそちらに釘付けにしながら美鈴に尋ねる。
「・・・・・・や、ヤバいですね。これは・・・・・・」
三人の視線の先は――――厨房。
だが、ドアが開いていた。いや、驚くべき所はそこじゃあない。
少なくとも三人が二階の階段上から見える一階の廊下は全て、5センチほど浸水していた。
「・・・・・・『血の海』」
三人の内誰かが呟いた。誰が呟いたかは誰も覚えていない。ただただ、眼下に広がる血で浸水していた一階の様子に息を呑むことしか出来ずにいた。
第28話へ続く・・・・・・
* * *
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