紅の十字架 そのB
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のか、なぜそんな『高い位置』にいるのか分からないけど・・・・・・」
レミリアは翼を広げた。彼女の言う『高い位置』――――正確には私は天井に立っているのだが、何故立てるのかという疑問については今は割愛する。
つまり、レミリアは飛んだのだ。私のいる位置に、まっすぐに。
私は糸を操って魔理沙を背後に隠した。そして上海人形と西班牙人形を前に出す。迎え打て、舞え、情熱にたぎれ。私の糸を通じて人形に意志が宿り、向かってくる悪魔を迎撃せんとする。
「――――話は後だ。とりあえず、下に降りろ」
だが、レミリアは見えない人形たちのレーザーに射殺されながらも全く意に介す様子もなく私に肉薄し、掴み、地面に叩きつけた。まるで私が目に見えているかのような動作だ。
「頭が高いぞ、貴様・・・・・・」
レミリアの貫通したばかりの傷がもう修復され始めている。私は一緒に投げ飛ばされた魔理沙を庇うようにして受け身を取った。
やはり吸血鬼相手には攻撃による消耗戦では不利だ。攻撃を入れた所から回復されてしまう。
「・・・・・・さて、一ついいか」
「?」
レミリアは再び私の元に飛んでくるのでは、と思ったが違った。空中で滞空して私を見下ろしている。
言葉通り、私が上にいるというのが気に食わなかったらしい。
と、レミリアが神妙な顔で私に一つのことを質問した。
「――――フランドールを、どうした?」
「・・・・・・」
目的は何だ、とか。何故こんなことを、とかではなく。自分の妹の所在を尋ねてきた。目的ならある。その答えなら正当な理由とともに用意していた。
だが妹の所在となると、今一度ロジックを組み立てる必要がある。あまり想定していなかった。
私は彼女の妹をどうした? 思い出に欠けているが、正直な話、忘れてしまったというわけでもない。説明しようと思えば出来るのだが、しかし、そんなことよりも私は魔理沙のためにこうしているのだ、ということを先に説明する方が早い。
私は魔理沙のために、寂しくないように、友達を増やしているに過ぎない。(決して私怨ではない。そもそも私と魔理沙を殺したあの男も家の近くで死んでいた。)
そう・・・・・・フランドールは魔理沙の友達になったのだ。
魔理沙は喜んでいるだろう。今夜だけでたくさんの友達が出来たんだから。幸福だろう。きっと魔理沙は幸福だろう。
フランドールはその一人だ。じゃあ『私が』フランドールに何をしたかという疑問に立ち返ると、うまく答えに出来ない。
私は魔理沙が友達を作るための仲立ちでしかないのだ。私がしたことといえば・・・・・・。
「・・・・・・血を抜いて、眼球を抉り出し、魔理沙と同じく人形にした」
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