紅の十字架 そのB
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フランドール?」
もう一度名前を呼ぶ。僅かな可能性にかけて、もう一度だけ自分の愛する妹の名を。だが返事はない。
そこにいたのはフランドールじゃあなかった。
「・・・・・・槍符『キューティー大千槍』」
レミリアの背後、更に頭上、顔面の正中線上ッ!! そこから突然声がかけられたのだッ!!
(違う、声じゃあないッ!! スペルカードだッ!!)
そうすぐに気付くが、遅かった。レミリアが気が付いたときには背後から背中を一突き、二突き、三突きとそれだけでは収まらない。彼女の小さな小さな背中に何度も何度も鋭い槍のような物が深々と突き刺さった。
「ぐ、がふッ、ブフッ!!」
その内の一発が彼女の喉を背後から串刺しにしたようだ。レミリアはたまらず血を吐いた。だが、敵は攻撃の手を緩めはしない。
「呪符『魔彩光の上海人形』」
レミリアを挟むようにレーザーが展開され、その間を反射するように二本のレーザーが彼女を焼き切り刻む。
「・・・・・・あッ!!」
高熱線に肉をえぐられる痛みに顔を歪ませる。
「――――恋符」
ボロボロになっている彼女を更に追いつめるのは――――巨大な光線。だが、その声の主は変わっていない。全て同じ人物が唱えているのに――――。
レミリアは分かっていた。一つ目と二つ目のスペルカードの持ち主と、今敵が使っているスペルカードの持ち主は別人であることを。
声の主はおそらく、人形遣い。アリス・マーガトロイド。
そしてこのスペルの持ち主は――――。
「『マスタースパーク』」
失踪事件で話題だった霧雨魔理沙だ。
* * *
「――――そんな大技が私に当たると思っているのか?」
避けた。レミリア・スカーレットは槍で何度も刺され、レーザーで切り刻んだにも関わらず、おおよそスペルカードの種類では予測しきれないマスタースパークを意図もたやすく避けた。
「・・・・・・」
一瞬で飛翔し、部屋の入り口付近からレーザーの届かない端の方に移動していたらしい。レミリアは私の方を見る。
見えないはずの私の方を確かに見る。
「・・・・・・何と言ったか、私は聞き覚えがある。小耳に挟んだ覚えがある。霊夢の友人だった・・・・・・名前はあんまり記憶してないが、霧雨魔理沙とか言う奴だ。――――その名前を私はついぞこの前失踪事件の張本人として聞いたのだけれど」
この言葉は私に向かってかけられていると取ってよいだろう。
「・・・・・・アリス・マーガトロイドか? お前は・・・・・・」
レミリアの予想は当たっている。見えない、透明の私に向かって私の名前を確かにはっきりと告げた。
「・・・・・・飛んでいる
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