紅の十字架 そのB
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!」
普段から気を遣っている美鈴は社交辞令をせずにはいられない性分らしい。律儀に礼をしてからノリ突っ込みをしている。
「違います、私はあなた方と茶菓子を食べながら世間話に興じに来たわけじゃあないです!」
そんなことは現在の紅魔館の状況を見れば分かる、と妹紅は眉をしかめた。
「知ってるよ。で、何の用だ?」
美鈴の答えはパチュリーを助けて欲しい、というものだった。うすうす気が付いてはいたが、ベッドの上にも二人ほど動かない人間がいた。
一人は美鈴の言うパチュリー・ノーレッジ。そしてもう一人は十六夜咲夜である。
(・・・・・・ドッピオはこの二人を守るためにわざと敵ごと地面に自分を括りつけていたのか?)
幻想郷に来てまだ日が浅いドッピオがそのような行動を取るとは思えなかった。だが咲夜への拙い応急処置を見るとドッピオの仕業に見えなくもなかった。
それより、咲夜の右眼球が無いが・・・・・・一体ここで何があったのだろうか。
そしてパチュリーの状態もよく見ればおかしい。ドッピオのように血管が、それも全身の血管が、外気に触れるように露出して破裂しているのに全く出血していなかった。何か、見えない力で血の流れを強制されているような感じだ。
「この人の治療のことですが・・・・・・いいですよ」
と、ジョルノは二人の状態を見て首を縦に振った。もちろん、妹紅は反対する。
「待て、ジョルノ。こいつらを治療して、一体私たちに何のメリットがある? 美鈴はいい奴かも知れないが、パチュリーの詳しい人格については私もよく分かっていない。咲夜はお前も戦ったように言わずもがな、情緒不安定だ。しかもこいつらは全員あの吸血鬼の手の者なんだぞ? あいつの一言で美鈴だって――――」
そこまで妹紅が言って、言葉を止めた。ジョルノの目に揺るぎのない覚悟の色が見えたからだ。
「妹紅。あなたの言い分は実によく分かります。僕は間違ったことをしているかもしれない。ですが、僕自身は間違いだとは思いません」
手に持った糸切れを血管に変えながらジョルノは話し続ける。
「ドッピオが守ろうとしていたものを僕は見殺しにすること。僕はそれこそ間違いだと思います。僕は彼女を治す」
そう言ってジョルノは同じようにパチュリーの破裂した血管を治していく。
「・・・・・・まぁ、言っても聞かないってことはこれまでで重々承知だ。手伝うよ」
妹紅はハァ、とため息を付いて傷口に血を馴染ませていく。それを見た美鈴は帽子を胸に当てて深く頭を下げた。
「ありがとう二人とも。レミリアお嬢様に代わってお礼申し上げます」
その言葉に妹紅は「いや、いいよいいよ」と手を振るが。
「・・・・・・ついさっきまで拒否
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