4、人形になるなんて真っ平ごめんよ。
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ないところに一本の矢が刺さっていた。
「矢っ!?」
「……逃げられたか」
チッ、と舌打ちを出して呟いた彼を見上げた。
ん? 見上げた?
冷静になって、気付く。
……私、今! 押し倒されてる!?
あ、い、いや、でも状況が状況だし!
「ああああのっ……!!」
助けてくれたことは、すっっっごく感謝してるし、助けてもらっておいて、あれだとは思う。思うけれど、何せ距離が近い!!
「ん? どうした?」
ちちち近いーーーっ!!
息が耳に当たる。
「……っ!!」
落ち着いて、私。
これは緊急事態だから!
なんて言ったところで、あまり意味をなさないことは分かってた。自慢じゃないが男女の付き合いなんて、生まれてこのかた、したことがない。
異性との交流なかったわけではないが、それはあくで友人としてだ。それに、向こうからも異性の女性として扱われるよりも友人として、むしろミヤコの性格上、男友達として見られてように思う。
だから、こんな風に守ってもらう、とか。
女性扱いを受けたりしたことなど、ほとんどないのだ。
恥ずかしさに耐えきれなくて、ぎゅっと目をつむった。緊張してちょっと手が震えるのはなんとか隠したかったが、こうも密着されていては、相手にバレているだろう。
「……大丈夫か? 驚かせて悪いな。もう何も心配いらない」
だから泣くな、と彼は言う。
男慣れしていない、とは露ほども思ってはいないらしい。
「た、助けてくれてありがとう。でも、その、あの……離して、下さい……」
「あぁ、悪かった。重かっただろう」
「いえ……別にそう言う訳じゃ……」
どことなく、気恥ずかしさを感じてしまう。
ほら、と先に立った青年がミヤコに手を差し出してくる。青年の手を取ることもせず、ミヤコは少しだけ赤くなった顔で青年が差し出した手を見つめるだけだ。
「どうした?」
「………て、……の」
「あ?」
「腰が抜けて立てないの!!」
「…………」
「…………」
暫しの沈黙。
さわさわ、と風に揺れる葉の音が虚しく響いた。
「──くっ、」
「く?」
「はははっ!」
突然笑い出した彼に、ミヤコは目を見張る。
「ちょっ! そんなに笑わなくたっていいじゃない!!」
戸惑うミヤコを余所に、彼の笑いは止まらない。
「…………」
段々腹が立ってきた。
どうしてそこまで笑われなきゃならないのよ!
失礼な人!!
ミヤコの中で彼の印象は決まった。
命の恩人? 冗談じゃない! 失礼な人、だ。
決定。少しでも感謝した私がバカみたいじゃない。
「……何がお気に召したのか知りませんけど、そこまで笑うことないじゃない」
憤然とした口調でミヤコが呟けば、さすがにまずいと思ったのか、彼は少しば
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