紅の十字架 そのA
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「・・・・・・が、ぎッ・・・・・・」
軽く押さえるだけでは破裂した血管から吹き出す血の流れは止められない。端的に言えばドッピオは自分の首を絞めて血の流れを止めていたのだ。もちろん、出血はある程度収まるが呼吸ができなくなる。さらに『墓碑名』での行為であるため以降はスタンドを使った攻撃も余り出来ない。もし攻撃しようと手を離そうものなら1分足らずで失血多量で死んでしまうだろう。かと言ってこのまま首を絞めても酸素不足で死んでしまう。
ドッピオの命は残り1分を切っていると言っても過言ではない。
「KOAAAAAA・・・・・・」
しかも敵は倒せていないのだ。状況は限りなくまずかった。
だが、こんな限りなく絶望的な状況下でドッピオはとんでもない作戦を思いつく。(正確にはディアボロがドッピオの深層心理をつき動かした。死に瀕した経験なら百戦錬磨の彼にとって頸動脈のプッツン程度の状況は幾度となくあっただろう。焦ることなく最善を選び取る)
「・・・・・・!!」
迷っていられない。自分に残されている時間はもう無い。あとは死ぬだけなのだ。
敵を見るとおそらく、人間の形をしていることが分かる。ドッピオの血や咲夜の血によっておおまかな輪郭が見えていた。
ドッピオは敵に飛びついた。既に意識は半分飛びかけており本来なら敵を組み伏せる力も残っていない。
だが、そんなことは関係ない。勢いに任せて飛び込むと、思った通り鈍重な敵はぐらついて床に倒れた。その上にドッピオが覆い被さる形になる。
そしてドッピオは敵の腕と思われる箇所に自分の腕を重ねた。敵の手に力が込められ、ドッピオの手を握りつぶそうとする。だが、その前に――――。
「エ・・・・・・フ」
『墓碑名』は彼の首から手を離してナイフを持った。そんなことをすれば再び首から血が流れ出し、ドッピオの死期が早まるだけである。だが、そうせざるを得ない。
敵を止めるにはこの『手』しかなかった。
こともあろうか、『墓碑名』はドッピオと敵の重なった両肘を床に縫いつけるように、ナイフで串刺しにしたのだ!! 両腕とも固定した!
ドッピオと透明の敵は地面に縫いつけられた形になった!
すぐさま血が流れ出続けるドッピオは『墓碑名』に首を絞め直させて出血を押さえる。だが、もうほとんど無意味な延命だった。
自分は死ぬ。だが、せめて一矢報いたかった。どうしてこんなことをしているのか未だによく分かっていない。ただ少しだけ満足感と達成感があった。
「KOAAAAAAAA!!」
敵はドッピオが上に重なり、両腕が不自由となっているため動くことは出来なかった。
敵が動けないことを知り
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