紅の十字架 そのA
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敵がいる方向を振り向いた。
・・・・・・足音が聞こえない。てっきり追いかけてくるものと思っていたのだが・・・・・・。
追ってきていない? いいや、違った。この透明の敵はドッピオを狙っていたんじゃあなかった。
『一番近い人間』を攻撃していたに過ぎなかったのだ。
「てめぇぇーーーーーーッ!!! 何してんだ俺を狙えェェーーーーーッ!!!」
足跡がベッドの前で止まっていた。つまり、既に――――。
どしゅ、ボト・・・・・・。
「KOAAAAAAAAA・・・・・・」
ベッドから何かが転がり落ちた。
「う、わ、あああああああああああッ!!! やめろ、やめてくれェーーーーーーーッ!!!」
ドッピオの目には何が落ちたか分かっていた。大声で叫び、走り、抵抗の出来ない彼女たちに忍び寄る悪意を殺さなくては。
まだ、まだ間に合う。まだ、『片方』だけだ。
「『墓碑名』ッ!!」
ドッピオはスタンドを出してナイフを握らせる。そしてベッドに飛び込み、同時に透明の敵――――ドッピオ血が付いた腕に深々と突き刺した。
そのまま、腕を絡め取りドッピオは敵を掴みベッドの外へと追い出した。すぐにドッピオは咲夜とパチュリーの様子を確認する。
「・・・・・・ッあ、あ」
ドッピオの喉から出たのは声にならない叫びだった。
ベッドから落ちたのは『眼球』。
そして咲夜の右顔面には不自然な虚空が空いていた。
「お、俺のせいだ・・・・・・ッ!! 俺が、ナイフなんて取りに行くから」
あんまりじゃあないか。俺のために彼女が鼻を折られ、全身を再起不能になるまで痛めつけられ、挙げ句右目まで失った。
前者は咲夜のせいでもある。そういう思いもあった。だが、今のは違う。明らかに自分のミスだった。敵は自分を狙うものだと勝手に勘違いしていたからこうなった。
あんまりじゃあないのか? どうして咲夜はここまで不幸な目に?
「ち、畜生ッ!! この『敵』ッ!! ぶっ殺してや・・・・・・」
現実の理不尽さに怒りを覚え、ドッピオが後ろを振り向いた直後。
「KOOOOAAAAAAAAA・・・・・・」
重くのしかかる息が鼻にかかった。
「しまッ・・・・・・!!」
た、と思う間もなくドッピオの首に凄まじい力が加えられ――――。
「――――ッ!!」
首の血管が破裂した。同時にドッピオは『墓碑名』に握らせていたナイフで首を掴む何かを切断する。
ぶびゅっ、と首から大量の血が吹き出す。このままではマズイ、と無意識に判断したドッピオは噴水のように流れる血を止めるために『墓碑名』で首を押さえさせた。
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