紅の十字架 そのA
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足で自分の血によって正確な場所――――やはり腕のようだ――――を踏みつける。敵はたまらず腕を離して今度はドッピオの踏みつけた方の足を掴もうとする。
「おっと!」
だが、血が付いているためそこの部分だけが透明ではなかった。
(本体は透明だが実体はある・・・・・・。俺の血が付着した箇所も見えるってことは、ただ透明なだけの奴か? しかしこのタフさは何だってんだ??)
足首から血が流れる。痛みはあるが動けないほどではない。
ドッピオは自分はともかく、確実に再起不能になるくらいにはボコボコにした透明の敵がすぐに襲ってきたことに対して疑問を持っていた。
吸血鬼ならばあり得る。だが、レミリアの様子からじゃあ透明の吸血鬼が元からこの紅魔館にいたとは考えづらい。そもそも、その個体数の少なさから異常性愛が起こり得る種族なのだ。さっきレミリアがパチュリーの周りにいた他の奴を倒していた(かどうかは定かではない)が、透明の敵の数は多いと考えるのが妥当だろう。すると吸血鬼という線は無くなる。
(・・・・・・分からん。だが、イヤな予感がする・・・・・・。複数体敵は紅魔館に入ってきてるらしいが・・・・・・)
そこまで考え、目の前の敵がいつの間にか起きあがり再びヒタ、ヒタ、とこちらに歩いてきていることに気が付いた。
「チィッ!! なめんじゃあねぇぞォォッ!!」
激高しながら『墓碑名』の拳を叩き込む。二発、三発と攻撃を加えて最後に渾身の一撃を入れた。
ドザァッ、と敵は背後に吹っ飛び倒れるような音がする。ドッピオの血がおそらくは敵の腕に付着しているため透明だからといって見失うことはない。
だが――――。
「KOAAAAAA・・・・・・」
「・・・・・・ッ!! まだ死なないのか!?」
再び立ち上がる。その光景にドッピオの脳裏に「こいつは殺せないのでは?」という考えが浮かぶ。まるでゾンビ映画の中の主人公のような気分だった。
あまりのタフさにドッピオが一歩、足を引いた。
(打撃では倒せないのか・・・・・・? な、何か、この部屋に武器になる物は・・・・・・!)
ドッピオが後ろを見ると咲夜とパチュリーが眠っているベッド。それ以外にこの部屋には・・・・・・。
と、部屋の東側の壁(レミリアの部屋は太陽の日が射し込まないように北側にのみ窓がある。また、廊下に出る扉は南に。西と東は壁である)付近に、大量のナイフが落ちているのを発見する。おそらくは咲夜の投げたものだろう。
打撃がダメならば斬撃はどうか。そう思い、一目散にナイフを拾いに走った。
「これならいけるかッ? 透明とはいえ、体中に突き刺せばどこか急所に入るはず!」
拾えるだけナイフを拾い、
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