紅の十字架 その@
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カード、もとい『切り札』を全て見切られたら負け、というルールはまさに人間の勝敗に関する心理を端的に示している。
「――――つまり、フランドールに敗北のイメージを与えるってことですか?」
「そうよ。奴らは吸血鬼。物理的ダメージにはめっぽう強くても精神的ダメージには案外脆い。幼いのもあるだろうけど、情緒不安定なフランドールにはきっと顕著に表れるはずよ」
そして、その隙を突いてフランドールを撃破するというわけか。
理にかなっている作戦だ。
「――――と、お喋りしている間に着いたわ」
二人はようやく紅魔館にたどり着いた。ジョルノが腕時計を確認すると現在時刻は午前3時11分。ここまでの道のりで妖怪に遭わなかったのは幸運だった。
「ここが正門ですか。本当なら美鈴さんがいるんですよね?」
ジョルノは門に手を触れて重い鉄扉の感触を確かめる。
「この時間は仮眠中なんじゃあない? 多分」
意外と適当な勘がよく当たる妹紅だが、そんなことを知る由もない。二人は特に躊躇もなく扉を開けた。どうやら鍵は掛かっていないらしい。
門の中に入るとまず広い庭園が目に入る。後ろにそびえる真紅の館とは対照的に緑が美しい庭園である。今は深夜のためその美しさは見れないのだが。
とりあえず二人は屋敷を目指す。自分たちの目標はフランドールただ一人だ。屋敷の地下に普段はいるらしいが、今は・・・・・・。
と、二人は庭園の真ん中で足を止めた。ちょいちょい、とジョルノが手招きする先には植物の中にあるちょっとした空間。
「――――!」
ではない。確かに空間ではあるのだが、人為的に設計されて作られた休憩スペースという訳じゃ無さそうだった。
明らかに争った形跡がある。それもかなり最近のものだ。
なぜ時期まで分かるのか?
「・・・・・・血だ」
ジョルノの言う通り、その空間にはまだ固まっていない大量の血液がぶちまけられていたのだ。
地面の上であるのにまだ血が染みていないということは『つい5分ほど前』くらいにここで何かがあったということ。
「ジョルノ、これは・・・・・・っておい! 触るなよ、止めとけ・・・・・・」
妹紅の制止も聞かずにジョルノは血だまりの地面に膝を着いて血を掬う。
「・・・・・・『ゴールドエクスペリエンス』」
そしてスタンドを現出させ、能力を発動する。対象はもちろん、彼が両手に溜めている血液だ。
「・・・・・・」
妹紅は黙ってその様子を見ていた。と、彼女の目に映ったのは血の中から蚊が一匹、飛び立つところだった。
ぷ〜ん・・・・・・と音を立てながらジョルノと妹紅の周りを飛び回る蚊。妹紅には何故ジョルノが蚊を生み出した
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