紅の十字架 その@
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っていた自分が最も人間離れしているのに。よっぽど咲夜の方が人間だ。自分は果たして心ある生物かどうかも疑わしい。
いや、よそう。もう、いいのだ。今は咲夜との別れを悲しんでいる場合じゃあない。後悔している場合じゃあない。私の独りよがりな怒りに任せた行動で、敵の進入に気付かずパチュリーを傷つけた。
これ以上失う物があってはならない。私は十六夜咲夜の母親じゃあない。紅魔館の主なのだ。これ以上、咲夜に構ってても私は腐り果てるだけだ。
・・・・・・そうだ、せめて最後はみんなで笑顔で送り出そう。フランドールも説得して。咲夜は閉口するかもしれないけど、不思議に思うかもしれないけど。
ちっぽけだけど、これがせめてもの償いになれば・・・・・・それでいい。
* * *
レミリアが部屋を出て、1階に降りようとしたとき丁度反対側から美鈴が飛んできた。
「お、お嬢様ッ!?」
「美鈴、いいところに! 緊急事態なの、手を貸しなさい!」
無論、美鈴が断る筈がない。美鈴はさっきまで仮眠中だったが、レミリアやパチュリーと同様に何かの気配を察知して飛び起きたのだった。
「『どこ』に『何』がいるか、あなたの能力で全て教えなさい」
「は、はい!」
美鈴の能力は『気を使う程度の能力』。気遣いが常人より出来る、という社交的にとても便利な能力だ。コミュ症の改善は美鈴とのカウンセリングを是非ともお勧めしたい。ついでに生物の気配も探れる。
すぐに紅魔館内の気配察知に移る美鈴だが、表情が険しいものに変わっていく。
「・・・・・・どうかしたの?」
「い、いえ・・・・・・私が察知した気配は・・・・・・8つ。内2つは私とお嬢様。3つの気配がお嬢様の部屋に固まっていますが・・・・・・」
「・・・・・・それは多分、咲夜とパチュリーとドッピオって奴よ」
ドッピオ? 美鈴は永遠亭で出会ったあの青年の顔を思い浮かべる。なぜ紅魔館に来ているのだろう?
「それで、他の3つは?」
「あ、えっと・・・・・・紅魔館庭園に二人。おそらく、訪問者でしょう。この時間の訪問は・・・・・・敵と見て間違いないです。あと一人は・・・・・・地下にいますね。妹様だと思います」
「・・・・・・美鈴。あなたの気配察知の性能のすばらしさは認めるわ。おそらく、あなたの答えは正しい。私が言いたいことは2つよ」
美鈴の答えにレミリアは冷静さを維持して答える。
「1つは、小悪魔の存在。庭園の二人を敵と見るなら、私たちの中で小悪魔だけがいないことになるわ。――――おそらく、もう彼女は殺された」
「・・・・・・」
もちろん、美鈴にもそのことは薄々理解できた。だが、もっと別の問題がある。
2つ目だ
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