主人公の資格 そのB
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霊夢はため息をついた。
「・・・・・・ごめんなさいね」
「・・・・・・」
少女たちの会話はそれっきりだった。
* * *
少し時間が経過して、橙と霊夢は無事に八雲邸宅に戻ってこれた。霊夢は橙の背中の上で気を失っていたためどこを通ってきたかは覚えていない。
「ただいま帰りました」
橙は疲れを帯びた声でドアを叩く。すると中から出てきたのは彼女の主人の八雲藍だった。
「おかえり! って・・・・・・ちぇ、橙・・・・・・! それは・・・・・・そいつは霊夢か!?」
「はい。えっと・・・・・・成り行きで連れてきました」
かなり衰弱していますが、と付け加える。藍は人里でのことを全く知らないので橙が霊夢をどうやって倒したのか、と困惑するばかりだった。
霊夢のスタンドが戦闘向きではないという説も考えられるが・・・・・・。
「〜〜〜〜!!! よ、よくやったなぁああ〜〜!! ちぇぇえええええええええん!! よし、今日は奮発するぞ! 紫様が大事に取ってるお酒を開けよう、な!」
「え? そ、それって大丈夫にゃぁ・・・・・・っ!?」
突然の藍の喜びに動揺しつつ、橙は続ける言葉を藍の愛撫に遮られる。
「よしよし、偉いぞ橙! やっぱりお前は私の自慢の式だ!」
だが、素直にうれしそうな主人を見ると満更ではない。むしろかなり嬉しかった。
「・・・・・・えへへ」
一匹の妖怪の顔から笑みがこぼれる。
彼女はもう子猫ではないのだ。
「うるさいわよ藍。――――それと、おめでとう橙」
玄関先で大声を上げる藍を注意しつつ、奥から紫が現れた。若干眠そうではあるが、彼女はしっかりとした主らしく振る舞い、橙の前に立つ。
「・・・・・・えっと」
「そんなに堅くならなくていいのよ? まずはもう一度言わせて頂戴。――――『成功報告』をありがとう」
優しく微笑む紫の顔を見て橙も思わず破顔する。
「はいっ!!」
藍も紫も、霊夢やスタンドなどの様々な問題が山積みではあったけれど、今はただ自分たちの娘のような式の成長を喜んでいた。
* * *
その後、藍と橙は夕食の支度に。紫は霊夢を連れて自室へと引き払った。
「・・・・・・さて、霊夢」
「・・・・・・」
霊夢は深い眠りについていた。だが、紫は構わず眠り続ける彼女に話し始める。
「・・・・・・まさか、あのときは何も知らなかったとはいえこんなことになるなんてねぇ・・・・・・」
紫は3週間前の出来事を思い出していた。まだスタンド使いが幻想郷に現れてから殆ど月日が経っていない頃。霊夢に発現した謎の現象に四苦八苦していた自分を思い
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