2、これは何かの冗談ですよね?
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「こっちのドレスの方がいいでしょうか?」
それとも……、とミヤコ付きの侍女は次々にクローゼットからドレスを引っ張り出し、ミヤコに宛てていく。
もう好きにして。ミヤコは早々に音を上げているのだがそれにも関わらず、侍女はドレス選びに夢中だ。
「ミヤコ様、やっぱり私はこっちの色がお似合いだと思うのです」
侍女が選んだのは、薄紫色のドレス。確かに彼女のセンスは悪くない。薄紫色のドレスは着飾ることがあまり好きではないミヤコから見ても、好みの色だ。
「マリー……。そのドレスは好きよ、でもね、そんなに張り切らなくても……いいんじゃないかしら」
少々…いや、かなり、うんざりとした感じで告げれば、侍女のマリーは諭すようにミヤコの名を呼ぶ。
「ミヤコ様。明後日はミヤコ様の御披露目パーティーなんですよ? 主役なのですから、私としてはもっと明るい色で行きたいんですが」
「嫌よ。」
「分かっています。ですから、これは我慢なさって下さいますよね?」
小さい頃から侍女としてミヤコに付き添っているマリーにとってミヤコの扱いはお手の物だ。
にっこりと笑って見てくるマリーに、「はい」と承諾する以外にミヤコに選択肢はなかった。
あの後。
一週間後にミヤコの御披露目パーティーが開かれる、そう兄のノエルから聞かされた直後、ミヤコは再び父の下に走った。
「お父様!!」
辛うじて残っていた理性で扉をノックする。だが、理性はそこまでで返事を待たずに感情に任せて扉を開け放った。
扉の前に居る衛兵はミヤコのそんな行動はいつものことなので、大して気にした様子はない。
「なんだ、まだ何かあるのか?」
机に向かい、公務の真っ最中であろう父の前にズカズカと足を進める。
「兄様から、一週間後に私の御披露目パーティーを開くと聞いたのですが、これは何かのご冗談ですよね?」
「なんだ、そのことか」
やれやれ、と頭を振る父に怒りで顔が引きつりそうになるのを抑えて聞き返す。
「私がそう言う場が好きではないことを知っていますよね? それに、そんなことに財を使うくらいならば、他のことに回してくださると私も気兼ねなく嫁げるのですけれど!?」
バカなことに無駄な財を使ってどうするんですか。
「別にお前の為に開くわけじゃない。これも我が国の為だ。華やかな場を開けば、それだけで民にも潤いが回る」
それだけを言いに来たのなら、戻って一週間後のドレスでも選べ。
話は終わったとばかりに、再び公務に取り掛かられてはミヤコが口を出せはしない。
「そう言うことなら、分かりました。……ですが、一つお願いがございます」
ミヤコの言葉に書類から目を離し、視線を向けてきた父にミヤコは更に言葉を続ける。
「その御披露目パーティーは仮面を付けての参加、という形をとっ
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