主人公の資格 その@
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るようだ。まずは1階の10部屋を見て回ろう、と考え手始めに一番近くにあった『すすきの間』に入る。
部屋の中央に布団が一つ。簡素な部屋だな、と思いつつ誰もいないことを確認し次の部屋へと移動する。
1階の部屋を全て見回ったが誰もいなかった。橙は「ならば2階を探すまで」と思い、階段を上がった。
2階に上がって橙の嗅覚と聴覚は人間の気配を察知する。このフロアには誰かがいるはずだ、と直感したのだ。これが博麗霊夢じゃなかったらどうしようもないが、そんな可能性はほぼ0に等しい。
橙はそれまでよりも更に慎重になって一番近くの部屋を見る。ここにはいない。と、その時。
「――――っやぁんッ!!」
「――ッ!?」
いきなり、橙の耳に一際大きな矯声が聞こえた。そしてその声色には聞き覚えがあった。
間違いない。この声は博麗霊夢の声だ。
橙はすぐに声のした方へ向かう。おそらくはここから一番遠い部屋だ。
――――せめて、橙はここで気が付くべきだった。この状況と先の霊夢の黄色い声からそれほど知識のない橙でも容易に『霊夢はセックスをしている』と分かった。実は前々から霊夢は金に困り果て、ついにそっちの仕事に手を出しはじめたという噂が蔓延っており、特に霊夢も否定しないようだったので『汚職聖職者』と一時期言われていたほどだった。(既に霊夢は27歳のため、犯罪ではないし描写をしない限りこの小説も全年齢の枠を越えない)
魔理沙が失踪してからの話である。もちろん、橙はそれとこれとに関連性は見いだしていない。
だから、「今の霊夢は自分の進入に気が付いていない」という認識は至極当然の流れだろう。さらには「セックス中なら簡単に不意打ちが出来る」と思うのも無理はない。
つまり橙は明らかに油断していた。この矯声が罠だということに全くの疑念も抱けなかった。
「油断大敵よ。――――ちなみに私はマグロなの」
廊下を進んでいた橙の背後から、そう声がかけられる。橙が己の誤解に気が付く前に――――
霊夢が小銭を橙に投げつける。
直後に、光速の物体が橙の鳩尾を殴り抜いた。そのまま橙は呼吸も出来ずに建物の壁にブチ当たり――――。
ドッゴォォォ!!
「な、何だァーーッ!?」
「急に建物の壁がぶっ壊れたぞ!?」
「みんな、逃げろぉー!! 破片に当たったら痛いじゃすまねぇぞぉーー!!」
直後に廊下の壁を破壊し、全身を酷い火傷におおわれた橙が人里の通りに投げ出される。
(・・・・・・ッ!?)
べしゃっ! と全く受け身もとれずに多くの人が行き交う通りに叩きつけられた橙。だが、すぐに痛む体を起こす。当然、背後に霊夢がいたからである。
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