主人公の資格 その@
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あ、あんた一体どこで『これ』を・・・・・・!?」
「永遠亭で僕と鈴仙で育ててるんですよ。これ全部を渡すと残りは殆ど無いんですが、この際ですから全部あげます」
「ちょっと、一体何を渡してんだよ・・・・・・」
妹紅がその桶の中身を見ると・・・・・・。
「うっ!?」
「こんな大量の『蚕の繭』・・・・・・育てるの大変だったんじゃないの?」
そこには妹紅が引くくらい、桶に大量に詰められた『蚕蛾の蛹の繭』だった。幻想郷では絹の材料になる繭は超高級品(まだ養蚕業が盛んではないため)。呉服屋のおばちゃんからすればこの店の最高級品を売ってもお釣りが来るくらいだった。
「あなたの言うとおり、確かに大変でしたよ。でも、全て妹紅の服と交換します」
ジョルノはまっすぐとおばちゃんの目を見て断言する。そんな彼のはっきりとした物言いにおばちゃんの職人魂が輝いた。
「いいよ、あんた。買ったわ。そのお嬢ちゃんへの気概も含めてね。呉服屋『久光』第4代目久光徳子の腕が鳴るってもんだよ」
おばちゃんは白い歯を見せながら不適に笑った。
「え、ちょ」
「ほら、葉っぱのお嬢ちゃん。こっちへ来な。新人君、すこーし時間がかかると思うから外を適当に見てきなさい」
「ありがとうございます」
おばちゃんは桶と妹紅を掴みながら店の奥に入っていった。妹紅は抵抗できずに、それにつられて奥へと引きずられていく。
店の中に一人取り残されたジョルノは「ふぅ」とため息をつき、一旦店を出た。
――――もちろん、ジョルノは蚕など育てたことは一切ない。
(・・・・・・ちょろいな。自分の店で使っている桶だと気付かないなんて)
ジョルノは呉服店にあった毛糸玉を積み上げていた桶を渡しただけである。お察しの通り、『ゴールドエクスペリエンス』の能力を使って毛糸玉を全て『蚕の繭』に変えて。
流石は元ギャングの切れ者。タクシーでのトリックの様な鮮やかな手際だった。
ともあれ、無料で妹紅の服の件は片づいた。あとは言われたとおり適当に時間をつぶして直ぐに出発するつもりだ。
と、彼が商店街を歩いているととある一角に人だかりが出来ていることに気が付いた。
「・・・・・・何ですかね。ギャンブルでもやってるんでしょうか」
ちょっと気になった彼がその人だかりをのぞき込むと――――。
「――――なッ!?」
そこには衝撃的な光景があった。
「・・・・・・おいおい、いくら何でもやりすぎじゃあないのか?」
「確かに相手は妖怪で、本業だと言ってもなぁ・・・・・・」
「あそこまでやると可哀想だわ・・・・・・」
「関所の税程度でなぁ・・・・・・」
周りの野次馬は
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