十六夜咲夜一揆 そのB
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その時。
「レミィ!!!!」
大きな声を上げて、勢いよくドアを開いて部屋に入ってきたのは動かないはずの大図書館。パチュリー・ノーレッジだった。レミリアは予期しない友人の登場に眉をしかめる。
「――――どうしたの、パチェ・・・・・・。今あなたに構っている時間的な余裕はないわ・・・・・・。もちろん、精神的余裕も・・・・・・」
「いいから聞いてッ!!」
「・・・・・・」
話の腰を折られたレミリアだったがパチュリーの余りの剣幕に言葉を飲み込んだ。それはドッピオにとっても同じことである。
「・・・・・・いい? 落ち着いて聞くのよ。咲夜の件も、そこの少年の件も今はほっといて」
パチュリーは上がった息を整えながら静かに事実を述べた。
「――――何かがこの屋敷にいる」
そう言ったパチュリーの首から噴水のように血が吹き出るのは、それからすぐ後のことだった。
* * *
小悪魔との契約が切れた。
「・・・・・・!!」
直後にパチュリーの脳裏に不吉な予感が浮かび上がった。何ともいえない不快感がこの屋敷を包み込んでいる――――。そんな予感がしたのだ。
彼女は図書館の机からすぐに立ち上がって、眼鏡をかけてレミリアの部屋に行こうとした。そして図書館の出口であるドアを開けるときに、彼女の不吉感は最高潮に達した。
ドアの下の方に『落書き』があった。
――わタしたチはこコにいル、ウシロをフリむイてはいケなイ
「・・・・・・私たちはここにいる、後ろを振り向いてはいけない・・・・・・?」
当然、そんなことを目にすれば誰もが彼女と同じ行動をとろうとするだろう。こともあろうにパチュリーは後ろを振り向こうとして――。
「SHANHAAAAII・・・・・・・・・・・・」
耳元でもたれ掛かるような重い声が聞こえた。戦慄する。一瞬死を連想させるほどの声。攻撃をしよう、という発想は無かった。すぐに逃げなければ。だがみんなに知らせなければ。
パチュリーは全力で走った。レミリアの部屋に向かう途中で血だまりを発見した。だがそこに死体は無い。小悪魔のかもしれない。だがそれを今確認する余裕はない。そもそもそんな発想もなかった。
「はぁッ、はぁッ!!」
動悸が激しくなる。息が苦しい。普段から運動不足ではあるが、ここまで呼吸が乱れるのは初めてだ。ましてや図書館からレミリアの部屋というわずか数十秒の廊下で。
やっと辿り着いた。だが不吉な予感は全く拭えない。何かが、何かが自分の後ろ、横、上、下。どこかにいるような気がしてならないのだ。
ドアを開こうと手をドアノブに回した。感触が別人みたいな気がした。自分の意
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