十六夜咲夜一揆 そのB
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を否定される義理はない。
『人間でない』はずがない。
「・・・・・・よ」
「ん??」
震える唇の奥から絞り出された言葉は彼女のこれまでの全てを象徴していた。
「・・・・・・私は『人間』よ・・・・・・『自由』を、許される・・・・・・『人間』」
「・・・・・・あぁ」
まだ反省しようとしないという意志が垣間見える咲夜の言葉を聞いたレミリアの表情に暗い影が落とされる。
「まだ自分の価値が分かってないみたいね・・・・・・死ぬか?? それもいいだろうね・・・・・・」
明らかに雰囲気が変わった。
「『命を運んでくる』と書いて『運命』。あなたの命を刈り取るのに私の二つ能力はまさにうってつけなのよ・・・・・・」
今度のレミリアの『キラークイーン』の攻撃は本気だ。殺意が容易に溢れているのを感じ取れた。それは、それまで咲夜を苦しめた生半可な拳ではなく、その細い胴体を貫こうとする凶弾である。
もはや、指一本動かせない咲夜が出来る行動は残されていない。だが行動は出来なくとも思い浮かべることは出来る。
これまでの人生の走馬燈ではない。彼女の心の中に存在する小ぎれいで小さな箱。その中にもう一つ汚れた箱があり、それを開けると壊れた懐中時計がある。それを思い浮かべる。そしてほんの少しだけ回すことが出来るネジを回して手を離す。その動作を思い浮かべる。
そのときの『癖』――――。無意識に行う二回連続の『まばたき』を殺意に湧いていたレミリアは見逃してしまった。
つまり、咲夜の心の中の壊れた懐中時計が秒針を刻む間――――。
時が止まるのだ。
* * *
再び、ディアボロが表に出る。一回目の時止めの際は無念にも咲夜とレミリアが闘っている部屋まであと数メートル、というところまで来ていた。ちなみに時が動き出してから二回目の時が止まるまでの間、つまり約23秒間。その時間ドッピオは辺りをキョロキョロと見回し首を傾げて「・・・・・・そうか! この道は覚えてるぞッ!! ここか確か」と言いかけることしか出来なかった。状況判断に20秒近く費やしていたのだ。
(・・・・・・再び時が止まった。まさか一回目で仕留め切れていなかったのか?)
時を止める――――。普通に考えたら勝てないわけがないのである。先ほど彼が小悪魔を瞬殺したように、相手が自分の死に気が付かないことだってあるのだ。
(・・・・・・・・・・・・いや、違う。あいつは時を止めている最中は他に干渉できない。俺の『キングクリムゾン』と同じだ)
咲夜の時止めしかり、ディアボロの『キングクリムゾン』しかり。発動者にはそれ相応の誓約があるのだ。
そうだと判断したディアボロは再び走り出す。今度は
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