十六夜咲夜一揆 そのA
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た。もちろん、それでは咲夜本体にダメージが与えられない。また鎧の爆弾化のために『ホワイトアルバム』に触れなければならず、危うく全身を氷付けされそうになったのだ。
(卑怯にもほどがある能力ね・・・・・・。爆弾化以外の突破口が見つからないなんて。しかも、咲夜に直接触れるのは氷付けの危険が伴うし・・・・・・。でも鎧をその方法で剥がしてもすぐに再生してたわよねぇ・・・・・・)
だが、レミリアが最も危惧していることは『ホワイトアルバム』の装甲の強度とか、極低温の世界だとか、そんなちゃちなものじゃあ断じてなかった。
もっと恐ろしいものの片鱗とも言うべき、『時を止める能力』だ。時を止められてしまえばいくら吸血鬼といえど、その間は無防備になる。だから常に対策を立てなければならない。
その対策は至極単純なもの。レミリアには咲夜が『スペルカードを用いずに』時を止める際に必要なアクションを知っていた。だが、それは客観的に止めることは不可能だ。説明するが、咲夜は心の内で懐中時計を止めるように思い浮かべることで時を止めることが可能になる。つまり、他人がどうこう干渉して止められるような発動条件じゃないのだ。
だから、その『仕草』――――心の内で行われるその行為に付随する咲夜の『癖』とも言うべき行動をレミリアは見切る必要があった。
お互いが距離を取り、遠距離弾幕以外攻撃手段が見受けられないこの状況。咲夜が時を止めるタイミングとしては最も可能性が高い。
よってレミリアは咲夜を凝視する。目を離してはいけない。彼女の時を止める際の『癖』を逃さないために――――。
「奇術『ミスディレクション』」
レミリアの注意が咲夜本体のみに集中しているその一瞬の隙に咲夜はすかさずスペルカードを切った。唱えた直後に時が一瞬(止まっている時の中で『一瞬』という表現もおかしいが)止まり咲夜の立ち位置がレミリアの注意とは正反対の方向に瞬間移動するスペルカード。つまり咲夜が移動した先は――――。
(――――私の後ろかッ!!)
レミリアの背後に咲夜がナイフを持って現れた。かなりの至近距離であったため咲夜はナイフを投げることはせずそのまま横薙ぎにレミリアの首を切り落とそうとする。
スペルカードを切ってくるとは思っていなかったレミリアだが、吸血鬼の超人的な勘と瞬発力により背後から迫り来る咲夜の攻撃を避ける。だが、避け方がまずかった。
「背後からの奇襲をとっさに避けるには前方向に逃げることしかできませんわ。いくらお嬢様であっても方向転換を考慮に入れる余裕はない――――」
「はッ!?」
ナイフを振りながら確かに咲夜はそう言った。そのおかげかもしれないが、レミリアは寸でのところで前方から迫る数十本のナイフに気が付く
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