十六夜咲夜一揆 その@
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いた。彼女の時を止める能力は生まれたときから出来ることだ。スペルカードを使う必要はない。
しかし、なぜ彼女は力が使えるのに鎖に繋がれているのか、といえば。つまり、単純にパワーが足りないのである。いまだに頭の中に残っている『ホワイトアルバム』を使っても、時を無限に止めようとも、パワーの無い彼女では鎖を引きちぎることは出来なかった。
だからここにドッピオが突然現れたのは最大限の幸運だった。
彼女は確信していた。時を止めれば奴が来る、と。そして咲夜の思惑通り、目の前の男は――――。
「・・・・・・何という『幸運』だ・・・・・・。俺にはまだ、ツキが残っていた・・・・・・」
姿を変えて別の人間へと変貌した。――――底知れない悪意を携えて――――。
* * *
止まっている時の中、ディアボロはドッピオの体を変形させながら表に出てきた。
「・・・・・・久しぶりね。・・・・・・何と呼べばいいのかしら?」
その姿を見取り、咲夜は彼に話しかける。一度殺したはずの男、さらに自分の絶対的空間であるはずの『止まった時の世界』に干渉できるただ一人の男に対して、少なからず彼女は恐れを抱いていた。そのためか、若干声が震えていたが――――。
それ以上に、この男に対して惹かれていた。
十六夜咲夜は時を止めることが出来る、だがその『世界』は彼女だけの世界。孤独な世界。これまで十六夜咲夜はその孤独を延々と味わい、いわゆる『お嬢様』という奉仕対象に頭を垂れてきた。言うなれば単なる飼い殺し。
咲夜の痛みは誰も分からない。
だが、この男は違う。私の世界にこうやって確かに存在している。息づいている。
彼は私の理解者たる人物だ。
彼女がディアボロに対して『運命』を感じるのは当然の流れだと言っていい。
「・・・・・・命拾いしたな。普通ならこうして俺の姿を見てきた奴は全員殺してきたが――」
と、彼の脳裏にジョルノの顔が浮かんだ。己の汚点を思い出し、自己嫌悪に陥るが頭を振って忘れる。
「ここはどこだ?」
「・・・・・・ここは、ご存じ私の『元』主のレミリア・スカーレットお嬢様の御邸宅――――の地下牢獄ですわ」
咲夜は若干の皮肉を混ぜて答えた。『元』ということは今は違うのだろう。
「今は・・・・・・絶賛私がストライキ中よ。ストライキを起こしている従業員に対してこの仕打ち(牢獄行き)はあんまりよねぇ」
「そんなことはどうでもいい。つまり、俺はドッピオとしてここに生き返ったわけか」
止まっている時の中、ディアボロに襲いかかる死の危険は存在しない。この空間では全くの、微塵の恐怖さえも感じないのだ。
「・・・・・・聞いてきたくせに冷たいわ
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