暁 〜小説投稿サイト〜
ボスとジョルノの幻想訪問記
十六夜咲夜一揆 その@
[3/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いた。彼女の時を止める能力は生まれたときから出来ることだ。スペルカードを使う必要はない。

 しかし、なぜ彼女は力が使えるのに鎖に繋がれているのか、といえば。つまり、単純にパワーが足りないのである。いまだに頭の中に残っている『ホワイトアルバム』を使っても、時を無限に止めようとも、パワーの無い彼女では鎖を引きちぎることは出来なかった。

 だからここにドッピオが突然現れたのは最大限の幸運だった。

 彼女は確信していた。時を止めれば奴が来る、と。そして咲夜の思惑通り、目の前の男は――――。

「・・・・・・何という『幸運』だ・・・・・・。俺にはまだ、ツキが残っていた・・・・・・」

 姿を変えて別の人間へと変貌した。――――底知れない悪意を携えて――――。

*   *   *

 止まっている時の中、ディアボロはドッピオの体を変形させながら表に出てきた。

「・・・・・・久しぶりね。・・・・・・何と呼べばいいのかしら?」

 その姿を見取り、咲夜は彼に話しかける。一度殺したはずの男、さらに自分の絶対的空間であるはずの『止まった時の世界』に干渉できるただ一人の男に対して、少なからず彼女は恐れを抱いていた。そのためか、若干声が震えていたが――――。


 それ以上に、この男に対して惹かれていた。


 十六夜咲夜は時を止めることが出来る、だがその『世界』は彼女だけの世界。孤独な世界。これまで十六夜咲夜はその孤独を延々と味わい、いわゆる『お嬢様』という奉仕対象に頭を垂れてきた。言うなれば単なる飼い殺し。

 咲夜の痛みは誰も分からない。

 だが、この男は違う。私の世界にこうやって確かに存在している。息づいている。

 彼は私の理解者たる人物だ。

 彼女がディアボロに対して『運命』を感じるのは当然の流れだと言っていい。

「・・・・・・命拾いしたな。普通ならこうして俺の姿を見てきた奴は全員殺してきたが――」

 と、彼の脳裏にジョルノの顔が浮かんだ。己の汚点を思い出し、自己嫌悪に陥るが頭を振って忘れる。

「ここはどこだ?」

「・・・・・・ここは、ご存じ私の『元』主のレミリア・スカーレットお嬢様の御邸宅――――の地下牢獄ですわ」

 咲夜は若干の皮肉を混ぜて答えた。『元』ということは今は違うのだろう。

「今は・・・・・・絶賛私がストライキ中よ。ストライキを起こしている従業員に対してこの仕打ち(牢獄行き)はあんまりよねぇ」

「そんなことはどうでもいい。つまり、俺はドッピオとしてここに生き返ったわけか」

 止まっている時の中、ディアボロに襲いかかる死の危険は存在しない。この空間では全くの、微塵の恐怖さえも感じないのだ。

「・・・・・・聞いてきたくせに冷たいわ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ