アリス・マーガトロイドの秘密 そのA
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あないんだ」
一応弁護してからトーストを口に運ぶ。む、かなり美味いぞ。何というか、絶妙な甘さだ。普通のトーストには無い味が出ている。
「そのトーストにはこの森で採れるアマツメソウっていう白い植物の根が生地に練り込まれてますよ。アマツメソウは名前通り、ほんのり甘い成分が含まれていて30年前くらいにパンに混ぜると絶妙な甘さが出るように・・・・・・」
俺の反応を見て満足したのか、求めてもないのに得意げに説明を始めるアリス。彼女はアレか、説明したがりなのか。
しかし、聞いていてつまらない話ではないので俺は頷きながら食事を進める。だが、そろそろ霧について話してほしいぞ。
「ん? あぁ、そうそう。霧についてでしたね」
俺が話を折るように尋ねると彼女は本当に忘れていた、という風に手をたたいた。
「ボスも察しているように今日は『魔法の霧』が濃いですね。この霧は主にこの森に生える植物が出す魔法性のガスから構成されているんですけど・・・・・・。例に漏れず、人体には悪影響という性質でしてね」
一体何の例に漏れないのかは分からなかったが、いわゆる『よくある設定』と彼女は説明した。説明になっていないが、今日外に俺が出ることは危険。ということは理解できた。
「なるほど・・・・・・」
「えっと・・・・・・どうします?」
彼女はそう尋ねてきた。普通ならこんな危険極まり無い日に人間を外に出すのは彼女にとってかなりきまりが悪いものだろう。ほとんど他人を見殺しにするようなものである。
だが、俺がかなり急いでいると思ったのか。俺の意見を尋ねてきた。俺としては死んだところで幻想郷のどこかで復活するだろうが、彼女に後味の悪い思いをさせるのもどうかと思った。
「そうだな」
ここまで他人に優しい彼女のことである。彼女の良心を無碍にするのも悪い。以前の俺なら考えもしない決断だったが――――。
「もう一晩、様子を見てから決めてもいいだろうか?」
留まる決意をした。するとアリスは微笑んで「そうね」と呟く。
「その方がきっといいです。――――きっと」
* * *
その後、朝食を終えて俺は寝室に戻ってきた。特に何もやることがないので彼女から俺でも読めそうな本を数冊借りて読むことにした。
「・・・・・・分からん」
出来るだけ分かりやすいのを彼女はセレクトしたつもりだろうが、よく話が理解できなかった。彼女が言うには日本の代表的小説。とのこと。
「何でこいつらは自分の娘を好きになったり、従姉妹と結婚したりしているんだ・・・・・・??」
そもそも恋愛というものに興味がない俺だが、いよいよを以て訳が分からない。日本の小説家は頭が狂っているんじゃあないのか。
「
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