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ボスとジョルノの幻想訪問記
『八雲』橙がやってくる!
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爪が『回転』し始めたのであるッ!
「・・・・・・(地味ウサ)」
 てゐはもうちょっと凄いのが出ると期待していたのに、蓋を開けてみると爪が橙の指の上で皿回しのように回っているだけだった。
 が、そんなてゐのがっかり感を知ってか知らずか、橙はキリッ! とした顔で
「これはもう『爪』を越えた『牙』だッ! これからは『(タスク)』と呼ぶッ!」
 と叫んだ。

 ・・・・・・。

「――――で、その『新しい力』をどうする気ウサ? おそらく昨日考えたような決めゼリフを叫んで『私カッコいい』を演出してるみたいだけど・・・・・・え? それ本当になんなのウサ? 用途は? 使い道は?」
「・・・・・・ええい、うるさい兎め! これでも見て驚け!」
 おそらく図星を突かれたのだろう。橙は顔を赤くしながら近くの竹に照準を合わせる。

「『(タスク)』!!」

 橙が照準を合わせた指先から先ほどギュルギュル回転していた爪を発射した。爪弾はバシュゥーーという空気を切る音を発しながら竹に突き刺さる。爪は回転しているため竹に刺さっても勢いは止まらず、竹を切断して背後の地面を深く抉った。
「どうだ! これが紫様から頂いた新しい力だ! その名も『(タスク)』! 一発一発の爪弾が、貴様の体を削り取るのだぁぁッ!」
 ドバッドバッドバッ!
 橙が大声で攻撃宣言をしててゐに向かって爪弾を発射した。
 対するてゐはと言うと――――。
「・・・・・・うん。これ私たちの弾幕でも出来ない?」
 寝たまんまの状態で弾幕を展開し発射された爪弾をすべて相殺。
「・・・・・・あ」
 橙は「そういえば」という呆気にとられた表情をした。
「ばっかだねー、あんたも。あんたんとこの親玉も。この『力』が何なのかは・・・・・・まぁ、永遠亭を狙ってきた辺り簡単に分かるけどさ。わざわざ弾幕で出来ることをやる必要あるウサか?」
 おそらくこれは『スタンド』の能力だろう。と、てゐは予想していた。何でスタンド能力なのにてゐに爪弾が見えるのかは彼女自身も知らなかったが、さきほどの(5話参照)永琳の台詞からするに現在の幻想郷に『スタンド使い』はジョルノ、ドッピオ、そして鈴仙の三人だけといっていたことから、八雲が幻想郷のパワーバランスがうんたらという理由を付けて橙を派遣しても不思議ではない。
 しかも、橙はおそらくだがスタンド使いだ。予想の範囲を超えないが『そういう可能性もある』とてゐは踏んだ。つまり、『八雲紫は永琳に黙って実はスタンドを保有していた』ということになる。
(あの私並に胡散臭い狸ババアのことウサ。また何か良からぬことでも企んでんだろうねぇ)
 数億年生きてきたてゐにとってその程度の予測は至極簡単。問題はその後だ。
「こ、この! 私のみならず藍様や紫様までバカにするなぁ
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