銃弾と氷殼 その@
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ディアボロは為す術もなく虚空を見つめていた。体を動かすことも、声を出すことも、視線さえも動かない。まるで精神だけが浮き彫りのような状態だ。この女に何も干渉できない。何と無惨な姿だろう。
そんなことを考えていると永琳はどこからともなく糸と針を取り出してディアボロのむき出しの胸を綺麗に縫合していく。
「貴方にはセーフティーロックを掛けさせて貰ったわ。これで貴方は私に攻撃できない。――――何でこんなことするのかって疑問よね? まるで心を読まれてるみたいって・・・・・・」
そんなことを言いながらディアボロは絶望する。攻撃ができない――どういう理論かは分からないが、さきほど心臓に取り付けた指輪がそうだろう。そして心を読むだって? そんなバカな話が――。
「いいや、無いわよそんなバカな話」
と、永琳はディアボロの顔をのぞき込んでいった。
(いや、確実に心を読んでいるとしか思えない・・・・・・!)
違うわ、と永琳はディアボロの『目』をのぞき込む。
「人の瞳孔は言葉より真実を語るのよ。よく言うでしょう? 目は口ほどに物を言うって。私の質問にあなたの瞳孔は顕著に答えてくれるわ」
流石は月の頭脳と言うべきか、瞳孔の動きで相手の心内状況を読みとれるのは後にも先にも八意永琳、ただ一人だろう。
もっとも、その程度の心読みはスタンド使いにもいたし、さらに言ってしまえば幻想郷にはそれの専売特許もいる。
何も珍しくはない。その上、対策もはっきりしている。
(瞳孔の動きで感情を読むだと・・・・・・? 確かに恐ろしい能力だが・・・・・・ならば、目を閉じれば・・・・・・ッ!?)
「学習しないわね、動けない。と言っているでしょう?」
しまった、とディアボロの瞳孔は語る。
今の彼の状況は『心を丸裸で永琳の手元に投げ渡している』状況である。こっちの意志は駄々漏れ、相手の考えは全くつかめない。
「じゃあ、あなたのこと。色々聞かせて貰うわ」
こうして一方的な尋問が始まった。
* * *
時は若干遡り、紅魔館。そこでは二人の子供が夕食について駄々をこねていた。――二人とも500歳を越えた吸血鬼ではあるが。
「咲夜ー! ご飯変えてー! これ冷えておいしくないー!」
「咲夜ー! 紅茶おかわりー! もうちょっと甘いのが良いー!」
「はいはい、お嬢様方。少しお待ちを♪」
その二人の駄々に深く刻み込まれたクマを携えた笑顔で応対するのは永遠の27歳と6ヶ月の十六夜咲夜メイド長だった。
「咲夜ー! このスープ辛いー! もうちょっと飲みやすくー!」
「咲夜ー! 肉焼きすぎー! もうちょっとレアでお願いー!」
「はいはい、お嬢様方。すぐにお持ちいたしますね♪」
完璧で瀟洒な彼女といえど、それは10年前の栄光。最近は足腰に負担が
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