プロローグ ~ディアボロが幻想入り~
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する。
「・・・・・・紅い屋敷・・・・・・」
それは建物全体が燃えるような情熱的な赤で塗りつぶされた西洋風の館だった。
(・・・・・・周囲に人間はいない。ということは、死因として上げられるのは植物の棘で動脈を切り失血死か、植物の毒で死亡・・・・・・というくらいか)
ディアボロは庭園の花に目を凝らすと、茎の部分に棘の付いたバラを発見する。
「ふん・・・・・・、今回は死ぬまでに時間がありそうだな。さて・・・・・・」
ディアボロは背後の屋敷を見据えるが、今はどうしてももう一つ。一つ前の死について考えていた。
(あれは・・・・・・一体何だったんだ? 俺は死んだのか? いや、あのとき、俺は最後たった一人だった。周囲の大地は消滅し、空はめまぐるしく昼夜が入れ替わる。何というか、先に世界が死んでしまったように感じた。そして、そして何より、俺が最後に見たあの巨大な人影は・・・・・・)
ディアボロは空を見上げて思案する。空は先ほどのように変化は起きていない。実に爽快な晴れ空だ。
「考えていても仕方がない。いずれ迫り来る死の運命に備えなければ・・・・・・」
空を見上げるのを止めて彼は回れ右をする。かなり巨大な建物だ。
足下を見る。少なくとも、ディアボロの危険になりそうな類の毒虫などはいない。彼は細心の注意を払い、植物に全く触れることなく、慎重に、焦らず、ゆっくりと屋敷に近付いていった。
しかし、広い庭園だ。これほどの敷地の庭園なのにどの植物も手入れが完全に行き届いている。庭師が5人は必要だろう。この屋敷の人間は随分な金持ちだろうな。と、ディアボロは思った。
「・・・・・・何だ? 何も起きないな・・・・・・」
目を覚ましてから5分以上経過しているのに、彼に迫り来る死の運命は一向に姿を現さない。今までこんなことは一度も無かったのだ。必ず、長くとも3分以内にはディアボロは絶命していた。一日240回以上のペースで死に続けているのである。
(そういえば、さっきの死――――。あれも長かったな・・・・・・。体感で5分程度だったか?)
何かがおかしい。何かが、少しではあるが変わっている――。彼は周囲を警戒しつつ、あることを思い出した。
(最近にも、こんなことがあったな・・・・・・。ホテル、DISC、・・・・・・再び絶頂に返り咲いたと思ったら夢だったとは・・・・・・。夢の中でも1000回は死んだがな)
目が覚めても全く時間は進んでいなかった。本当にあの不思議な空間は彼の夢だったのである。
「・・・・・・今回のは、少しアレとは毛色が違うな」
密室空間や迷路など、そういう類ではなく人も滅多にいない。ディアボロは屋敷を見上げた。
植物に血管をぶち切られないように注意しつつディアボロは館の玄関にたどり着いた。
既に彼が目を覚まして
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