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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十幕 「クライシス・デイズ」
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が削り取って飲みこんだ物質とみて良いだろう。
一先ずやることは……っと。息を大きく吸ってー、吐いてー、もう一度吸ってー……
「ベルく〜ん!ベルくん朝だよ〜!!」
虚数空間を移動しながら叫ぶ。ただただ叫ぶ。
通信はオープン回線にしてあるからISを通して声が伝わるかもしれないし、仮に意識がなかったとしても私がベル君を起こせなかったことなど無い。母の貫録(?)である。
しかし、何故スーパー鈴ちゃんはベル君の危機を真っ先に救おうとしているのだろう。
危ないと言えばシルバリオ・ゴスペルの操縦者であるナターシャさんだって危ないし、あさがお部隊の隊長さんだって結構危ない橋を渡っていた。なのに彼女が助けようとしているのはベル君だけだ。
「ショタコンに目覚めた……っていうのは流石に無いよねぇ」
スーパー鈴ちゃんはそういう世俗的な雰囲気を感じない。と言う事は、彼女とベル君に何かしらの接点があって、それが彼女の行動を産んだ?
――なら、ベルくんとは何者なの?
私の知ってる彼は、3番目のIS操縦者で、天然さんの意地っ張りで、体が弱い癖して無茶したがる男の子だ。ワンサマーのように特別な出生・環境にいたと言う訳ではないし、ユウジョウ兄弟のように破天荒な人格(ユウ君には言っちゃ悪いけど、キミも大概だと思うよ)という訳でもない。目を離せばその隙にいなくなってしまいそうなほどに儚い子だ。
そんな彼の背中にも、何かが背負わされているのだろうか。つらく苦しい運命が待ち構えているのだろうか。そうなった時――私は今までのようにベル君の面倒を見ていられる?それについていける?
ベル君は、いつか私の手の届かないどこかへと行ってしまって――?
初めて出会った思い出。助けてあげた思い出。頼られた思い出。
どんな思い出の中のベル君も、正直可愛らしかった。
仲良くなって心を開いてくれるのが嬉しかった。
そんなベル君がどこかへと行ってしまう?
あの華奢な体のままに、危険な場所へ?
「――駄目だよそんなの。危ないよ……」
君は争いが大の苦手じゃない。運動もてんで駄目で、未だにISの操縦だっておぼつかないのに。
そんな危険な所には行かせたくない。遠くには行ってほしくない。
ベル君の顔を思い出す。時々――本当に時々、自分の居場所がどこにもないような寂しい表情を見せる君の横顔を。
暗闇に紛れて、ベル君はどこかへ行っちゃうの?
いつか私の手を引くって豪語してたのは嘘だったの?
言い知れない不安が胸中を渦巻く。鎖を引きずるような重みが、私を焦らせる。
思えば、この世界に生まれてからずっと自分は世界から疎外されているような感覚があった。でも、ベル君の世話をしているうちに、私は君にどんどん入れ込んでいって――気が付いたら
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