01 箱庭に集った四人の人外
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「誰が面白い髪色だクソ餓鬼。これは地毛だ」
まったく年上に向かっていきなり何つーことを言いやがる。こちとらこの髪色が少しコンプレックスになってんだよ。
つーか何で前が白髪で後ろが茶髪なんだよ。改めて思うが、前後の時間のバランスがおかしいだろ。
なんで前の方が老けてんだよ、若白髪の領域を超えてるぞ。
「オーデ……"芳野 創生"だ。少し特殊だが、分類上"人間"だ」
あっぶね……! 髪色について考えてたせいで、危うくオーディンと名乗るところだったぜ。
もしこいつらが転生前の俺と同じように2000年代の日本人だったら、名前ぐらい知っているかもしれないからな。
……いや、絶対に知っているか。
特に高校生ぐらいだったらゲームとかで一度は聞いたことがあるだろうからな。
「へぇー、中々興味深そうな自己紹介だな」
「あら奇遇ね。私も同じことを思ってたわ」
「……」
すると何故だろうか、十六夜と久遠が面白そうな目で俺を見てきた。
それに比べ春日部は相も変わらずクール……いや、これは無関心と言うべきか。
……つーか、いつまで隠れているつもりなんだあの『ウサギ』は?
気配も消せてないどころか、木の後ろからウサ耳がチラチラ見えてんじゃねぇか。隠れる気がないだろ。
こいつらも気づいているみたいだし、そろそろ出て来てもらいたいのだが。
「別に面白くとも何ともないぜ俺は。それよりも、これからどうするつもりだ?
手紙を寄越したくせに出迎えの一つも来ないじゃねーか」
「そうね、これじゃ何も分からずじまいだわ」
「じゃあそこに『隠れている奴』にでも話を聞いてみるか」
そう言い、十六夜は一本の木の方へと目を向ける。
その時、ウサ耳がビクッ! となったのは言うまでもない。
「あら、気づいてたの?」
「当然、かくれんぼなら負けなしだぜ。そっちの二人も気づいてたんだろ?」
「……風上に立たれたら嫌でもわかる」
「隠れるも何も、さっきからずっと見えてたろ」
主にウサ耳とか。
「へぇ、面白いなお前ら」
十六夜は軽薄そうに笑いながら、俺と春日部に好戦的な目を向けてくる。
ちなみに創生の場合、長年の戦場で身についた直観により、たとえ目視できない者であっても生きている限り相手の情報を少なからず得ることができる。
「で、早く出てこいよ。じゃないと痛い目にあうぜ?」
十六夜がそう言うと、木の後ろからウサ耳を生やした美女がゆっくりと現れた。
「や、やだなぁ御四人様。そんな飢えた狼さんみたいに怖い顔で見られると私、黒ウサギは死んじゃいますよ?
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