第010話 苦渋のセンゴク
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」
ハトはその名前を頭の中で繰り返した。
前に本で読んだ、緑の茎にトゲを持つ、あの真紅の花の名前を。
**********
「ギィイッ!!ギイィィィィッ!!」
素体型とはいえ″鎧虫″たちが中で散々暴れまわったのに
カツコが作った棘の牢獄は今だに崩れずにいた。
「無駄よ。私のバラはあなた達じゃ散らすことはできない」
彼女はそう言いながら、もう片方の袖を二の腕までまくった。
そして、漫画の中のキャラの様に両腕を広げた。
「さぁて、お仕置きの時間よ♪」
バンッ!! シュルルルルルルッ!!
思い切り両手を地面に手の平から叩き付けた。
すると、そこから大量の棘が不規則にうごめきながら
″鎧虫″たちのいる方向へと伸び始めた。
彼女のような生物を地球では″植物人″と呼んでいる。
運動能力は他の″侵略虫″と比べれば高い方ではない。
代わりに強力な″超技術″を持っていることが多い。
植物の行えることは大体何でもできる。
一番の特徴は何といっても植物の生長である。
小さなエネルギーを巨大なものへと変える″増殖器官″によって
植物の生長スピードを圧倒的なものにしている。
よって、自身の身体よりもはるかに強大なツタや茎を
生やすことが出来るのである。
「ギイッ!?ギイィィィイイッ!?」
″鎧虫″たちは必死に抵抗したが、狭い牢獄の中ではそれも空しく
最終的に、素体型″鎧虫″11体は全て拘束されてしまった。
「さてと‥‥‥‥‥」
そうつぶやきながらカツコは両手を棘から切り離した。
そして、一体の″鎧虫″の頭のとなりに立った。
″鎧虫″は何とか抜けようとしているが、それは無駄のように見えた。
チクッ
カツコは指先をトゲ状にして、″鎧虫″の柔らかい首の関節部分に突き刺した。
「ギイイイィィィィィィィイイイイッッ!!」
ダンダンッ! バタバタバタッ!!
最後の抵抗なのか、″鎧虫″はバタバタと脚を動かしたりして暴れた。
しかし、少しずつ動きが鈍くなっていき、最終的に動かなくなった。
「‥‥‥‥‥おやすみなさい」
そう言いながらトゲ上の指をゆっくりと抜いた。
他のヤツらにも、さっきと同様の動きをして
全ての″鎧虫″を完全に制圧してしまった。
**********
「ふー、疲れた」
カツコは床に座り込んだ。
そこにセキレイたちも走り寄った。
「おばちゃん」
「ん、何?」
セキレイは棘の牢獄を抜けて出てきたカツコに声をかけた。
「もしかして‥‥‥‥‥‥‥殺しちゃったの?」
ハトは少し泣き
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