第010話 苦渋のセンゴク
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“薔薇”―――――――――それは妖艶なる物。
棘の牢獄の中に舞うその花には触れてはならない。
何ゆえか?‥‥‥‥‥‥毒があるからである。
ドゴッ!ドォンッ!ドゴォンッ!
「ほらほら、そんなんじゃ全然当たらないわよ〜」
″鎧虫″たちは脚を振り下ろして、その花を散らそうとしていた。
しかし、彼女はその全てを紙一重で避け続けた。
ドゴォォオンッ!!
「キャッ!んもう、危ないじゃないの!」
目の前に振り下ろされた脚をバックステップでかわしながら声を上げた。
体のサイズがまるで違うため、逃げ続けるには限界があった。
彼女の命を刈り取る時が″鎧虫″たちに近づきつつあった。
「いい加減にしないと‥‥‥‥‥‥怒るわよ?」
だがそれは、彼女が反撃しないことが前提の話である。
**********
「おばちゃんがあんな狭い所で戦ってる‥‥‥‥‥」
ハトは戦況を眺めながらつぶやいた。
「昔から相手の攻撃を避ける天才じゃったからのぅ。
スゴイじゃろ、ワシの奥さん♪」
カイエンが自慢げに言った。
ハトは目を輝かせてうなずいた。
「そう言えば、おばちゃんのアレは何なの?」
ハトは腕を変身して戦うカツコの出した棘を見ながら訊いた。
カイエンは袖をまくりながら言った。
「″侵略虫″は知っとるかのぅ?」
「うん」
ハトは軽くうなずいた。
「おじいちゃんもでしょ?」
「あぁ、そうじゃ。だが、彼女はワシとは少し違う」
カイエンは腕を変身させた。
段々と節が沢山ある変な形になっていた。
その隣から脚(?)が沢山生えているように見えた。
「ワシはそっちで言う“トビズムカデ”という種類の虫じゃ」
「む、ムカデ!?」
ハトは背筋に寒気がして両手で身体を抱えた。
※トビズムカデとは頭が赤く、胴体は黒く、脚の黄色い、道端でもよく見るムカデ。
日本ではかなり大きいタイプで毒を持っている。
(あまり細かく書く部分がなかったのでカットさせて頂きます)
「虫さんは嫌いじゃないけど、ムカデさんは怖いから苦手‥‥‥‥‥」
「全然それでええよ。ワシはそれには慣れっこじゃ」
「ごめんね、おじいちゃん‥‥‥‥‥あれ?」
うまく話をたぶらかされた事にハトは気付いた。
「話が変わってるよおじいちゃん!」
彼女は大声を上げた。
「すまんすまん。つまり、彼女はワシらとは違って
虫ではないことを言いたかったんじゃ」
カイエンは腕を元に戻しながら言った。
「ワシはムカデじゃが、彼女は“薔薇”なんじゃ。それも猛毒のな」
「バラ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
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