第七十三話
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としてクナイを投げながら救助に向かう。ドラグーンはその巨体が災いし、守護戦士に囲まれて思うように動けなくなってしまったらしく、そこを狙っていた弓矢の守護戦士の後頭部にかかと落としを叩き込む。
しかし、わずか一体の注意を引いただけでは何も足りず、ただドラグーンの近くに行っただけでは巻き込まれるだけだ。注意を引いた一体の攻撃を避けながらも、狙っている所定の位置に日本刀《銀ノ月》を鞘にしまいつつ飛翔する。……魔法を放つための呪文を唱えながらも。
「よし……」
スペルワードを唱え終わるとと同時に、狙っていた位置への移動を終了する。ドラグーンを狙う守護戦士の軍団が、全て横一線で並んでいるこの地点を。日本刀《銀ノ月》の射程には誰もいないが、それでも全力を込め抜き放つ。
「抜刀術《十六夜――鎌鼬》!」
思いっきり空ぶった日本刀《銀ノ月》の抜刀術だったが、その剣先からは風の刃が伸びていく。俺が唱えていた魔法は、ただ風を放つ魔法にずぎない。だが、その発生源が高速であるならば、その発生した風もまた、高速となる。高速となった風は刃と化し、刃と化した風は俗に、カマイタチと呼ばれるのだ。
つまり、俺が全力を持って空振った抜刀術《十六夜》はカマイタチとなり――横一線にあったものを全て切り裂く風の刃となった。……正直ぶっつけ本番だったことは否定しないが、狙い通り、ドラグーンを囲んでいた守護戦士は、綺麗さっぱり切り裂かれていたので良しとする。
「次は……」
次はドラグーンに肉薄している守護戦士の排除か、と思い翼を展開しようとしたものの、ドラグーンは既に大剣持ちの守護戦士たちを容易く薙払っていた。炎のブレスがさらに出現した守護戦士を焼き払い、ついでに俺のことを狙っていた弓矢持ちを噛み砕いた。
「シルフ、助かった!」
飛竜に乗ったケットシーからの礼を聞くと、ドラグーンはダンジョンの中央部へと飛翔していく。その中央部には、真っ先に突撃していったドラグーン十騎とシルフの精鋭部隊が揃っており、彼らを守るようにして、キリトとリーファがレコンのサポートを受けつつ、その直上で守護戦士たちと激戦を繰り広げていた。何をする気かと考えた瞬間に、ユイからの作戦の伝令が表示された。
――要するに、今からドラグーンと精鋭部隊が大技で道を開くので、その隙に機動部隊は出来るだけ奥まで進め、ということらしい。そして、進んだ機動部隊がいるところに援護射撃を集中させ、ドラグーンと精鋭部隊の合流とともに天蓋に向かう、とのことだ。奥まで進んだ機動部隊が取り囲まれて、そのまま各個撃破される……という危険性もある、いわゆる背水の陣でもあったが。
「シルフ隊、エクストラアタック、用意!」
「ドラグーン隊、ブレス攻撃! 用ーーー意!」
二人の領主の声
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