第七十三話
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矢の接近に気づかなかった。
「ぐっ!」
気づいた時には、その光の矢は深々と、日本刀を支える支点である俺の肩に突き刺さっていた。さらに、追撃として大剣持ちが近づいてくる気配を感じ取り、背後の守護戦士に向けて日本刀を振りかぶるが、その隙にもう一体の大剣持ちの守護戦士が背後に忍び寄っており、翼を無理やり斬り伏せられてコントロールを失う。
「うあっ……!」
コントロールを失いながらも、忍び寄っていた守護戦士を蹴りつけたが、大したダメージにもならないという結果に終わる。そのまま何の感情も見せずに腕甲付きの腕を俺の頭に伸ばし、アイアンクローのように握りしめて拘束すると、ゆっくりと大剣を俺の首に這わせる。
ジリジリと強く握り締めてくる腕からは筋力値の違いから逃れられず、前蹴りを叩き込もうとするが、その前に両足の健を大剣に切り裂かれてしまう。復活した時からか時間経過か、明らかにルーチンが強化されている守護戦士だったが、それを誰に伝える間もなく俺のHPは0へと近づいていく――
『諦めちゃダメです!』
――もうダメだ、と思った瞬間に鷹が放つ超音波に交じって、小さな少女の声が声が響く。そして俺を拘束する守護戦士に対し、青色の小さな鳥がつかみかかった。……いや、あれは鳥ではなく、二本の尾羽を持った青い綿毛の――ドラゴン。鳥に見紛うほどに小さな姿だったが、あれは確かに竜の姿だった。
その小さな竜の攻撃によって抵抗が弱まり、日本刀《銀ノ月》を守護戦士の鎧と鎧の隙間に差し込むと、無理やりその拘束から脱出する。足が動かない為に無理やり籠手付きの腕で殴りつけ、ほうほうの体で大剣持ちの守護戦士から距離を取る。
青い小竜はパタパタと俺の近くまで飛んでくると、透明なブレスを俺に向かって吐いていった。ケットシーの飛竜やドラグーンのブレス攻撃を見た後では、やはり少し身構えてしまったものの、どうやら回復効果のあるブレスで安心する。俺のHPが回復していくのを確認した後、その小さな竜は下に向かって飛んでいく。その先には――
「ワイバーン!?」
――レコンの自爆がこじ開けた守護戦士の穴から、巨大なワイバーンが姿を見せていた。巨大といっても戦闘用ではないらしく、輸送用なのか大量のケットシーのプレイヤーがその背中に乗っていた。青い小竜は、そのワイバーンの首の上に乗っていた、操縦士らしいケットシーのプレイヤーの肩に乗る。
「あいつは……」
俺はあの青い小竜を知っていた。このアルヴヘイムの時ではなく、アインクラッド――あのデスゲームの時にだ。
「……ピナ?」
アインクラッド第三十五層で会った、ビーストテイマーの少女の使い魔であるピナ。ここにいる筈のない《フェザーリドラ》と呼ばれた小さな竜は、ケットシーの少女の肩
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