四話「とも」
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所はあの時、ともと一緒に散歩で歩いた森の中だ。奴の気配を頼りに森の奥へ進んでいく。
「よぉ? 明也……」
そこには、大木に縛り付けられたともの隣で両腕を組みながら立ち尽くしている春原の姿が居た。
「春原……!」
ともを人質にしたことに対し、俺は激しい怒りに燃える。
「ま、ようやくターゲットが来たことだし? ともちゃんはもういいや?」
すると、春原はとものほうへ振り返ると、彼女を縛る縄を引きちぎり、解放したのだ。
「おじちゃん……!」
俺の胸へともが呼び込んで泣き出した。
「春原、なぜだ……?」
「僕は、ただ単にお前と戦いたいだけさ? そのために、ともちゃんにはお前を連れてこさせるためのアイテムとして使っただけだよ?」
「……お前も、研究所の回し者だな?」
「まぁね……でも、これが終われば俺は普通の人間に戻してもらえるって鬼守のやつと契約したんだ」
「奴は約束を守るような男じゃない! 俺たちは、奴らに利用されているだけだ!!」
「さぁね? でも、僕はどうしても、芽衣の……妹の、家族のもとへ帰らなくちゃならねぇんだよッ!?」
「!?」
次の瞬間、春原は変身して、真っ先に俺の腹部へ先手を打った。
「ぐはっ……!」
俺は飛ばされてダメージを受ける。
「おじちゃん!?」
ともが俺の元へ駆け寄るが、俺は彼女を睨んでともを制止させた。
「来るな……早く、智代のもとへ戻るんだ!?」
「……!」
しかし、ともは帰ることができず、木の裏側へ身を隠した。
――おじちゃん……!
ともは、ただシンの身だけを案じた。
俺は、強化人間へと変身し、春原との第二ラウンドへ挑んだ。しかし、格闘戦は俺より奴のほうが上だ。俺の攻撃をガードしたり交わしたりなどして、反撃してくる。俺はその攻撃をガードすることで精いっぱいだった。
「やめろ! 春原……目を覚ますんだ!?」
「もう覚めているよ! それどころか、冴えてるね!!」
「ぐぅ……!」
奴のこぶしが俺の肩を直撃するが、俺はそのダメージと引き換えに、奴の腹部へ拳を与えた。
「ぐふっ……!」
ようやく与えた春原へのダメージ、しかし奴は笑っていた。
「いいねぇ……もっとやろうよ!?」
「くそっ……!」
その後も奴との肉弾戦は続いた。しかし、俺は奴の戦い方に何かを感じた。それを疑いと見て扱わず、俺は捨て身の覚悟で奴の真っ向から突っ込む。
「ウガアァ!!」
そして、俺は奴の拳を腹部に受け貫通されたが、それと同時に俺は奴の心臓を拳で貫いた。
「う、うぅ……!」
春原の口元から緑色の吐血が起こし、その血がどろどろと流れ落ちる。
心臓の胸元から拳を抜き、さらに血が流れる。春原は、そのまま草むらへ倒れると、変身が解かれ、本来の人間の姿へ戻った彼は、見下ろす俺を見つめた。
「春原……お前
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