四話「とも」
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の話を語った。
「……そ、それでどうなったの!?」
ハラハラさせられながら、ともは智代の話を夢中で聞き続けた。
「ふふ……悪い人たちに連れ去られた私を、颯爽と駆けつけに来たのが、あのシンおじさんだ! おじさんはあの姿になって、私を誘拐した悪い奴らをやっつけたんだぞ?」
ともは、智代の話を無我夢中で聞いていた、半信半疑であるが自分の大好きな義母が言うのだから信じても大丈夫かと思ったのだ。
「さて……それじゃ、ピクニックへ行こうか? シンおじさんと」
「う、うん……」
やや、抵抗があるもののともは智代と共にシンのもとへ向かった。
施設の玄関にはシンがバスケットを片手に二人を待っており、智代らが来たところで彼の緊張は高まった。
「来た……か」
シンは、バスケットを智代へ手渡したついでにともを見た。
「……」
しかし、まだ抵抗があることでともは智代にしがみついたまま、こちらへ歩み寄っては来ない様子だった。それでも、怖がろうとはせずにただジッとシンの顔を無表情で眺めていた。
「じゃ……いこうか?」
智代がともの手を取ってその後ろをシンが歩く形となり、三人はここ一帯が見渡せる丘へと向かった。
移動する中、ともはちらりほらりとシンのほうへ振り向いてくるが、やはり表情は変わらずにジッと見ているだけだった。
「……よし、ついたぞ?」
智代は丘のてっぺんにつくとそこへで弁当を広げると、三人は芝生の上に敷いたシートの上に座るり、昼食をとった。
だが、やはり食事に会話が生まれず、気まずい雰囲気に包まれながら弁当を食べる羽目になる。
「その……シン?」
「……?」
もっさもっさと握り飯を頬張るシンに、智代はこの沈黙を打ち破るために何か、どうでもいいが、話しかけた。
「ともは……ことしで小学校の上級生になったんだ。あと、好きな教科は国語らしいぞ?」
「へぇ……」
と、シンはともへ振り返り、ともは少しだけビクッとする。
「国語……得意か?」
やや、微笑んだ様子でシンは問う。
「う、うん……」
ともは、あどけない表情でも頷いて答えた。
「シン、お前は体育が得意じゃなかったか?」
と、智代。それに、シンは頷いた。と、いうよりももとよりこういう肉体ゆえに得意なんてものじゃない。
「そうだ! ともは、一度も肩車を誰かにしてもらったことがなかっただろ?」
「え?」
「丁度いい機会だ。シンおじさんに肩車してもらったらどうだ?」
「え!?」
智代の提案に、ともは当然驚いて親を見ては目を見開いた。
「智代……さすがに、それは」
シンも、そこまでやらなくてもと智代を制止するが、それでも智代はともにシンの肩車を進める。
「……」
しばらく黙り込むともであったが、それでも勇気を決して少女はシンの元へ歩み寄ってきた。
「シン?」
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