四話「とも」
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優しく見守った。
――ああやって見ると、本当の親子のようだな?
*
「ねぇ、おじちゃん?」
森の中、ギュッとシンの手を握りしめるともは、無表情で歩くシンの顔を見上げた。
「ん……なんだい?」
ともの可愛らしい声にシンは顔を下ろした。
「ママと……仲がいいの?」
「ママ……?」
「智代ママのことだよ?」
「智代? アイツ、結婚してたのか?」
「ううん? 智代ママが私を拾ってくれたの。本当のお母さんは不治の病で余命を告げられて、そんなお母さんは、私に悲しい思いをさせたくないって言うから、私を智代ママのところに預けたの」
「……」
いろいろと深い事情があるようで、なぜかシンは自分とつながりが深いように思えた。
「それで、ママとはどうなの?」
「智代とか……」
一様、同居という形で一緒に住んでいるが……ここはどうこたえるべきなのかシンは選択に戸惑った。
「……」
ジッと真剣な眼差しでこちらを見つめるともに、シンはさらに焦らされる。
「それはな……」
「……」
「その、普通… … かな?」
とりあえず、中間を取った答えを出したが、
「そう、なんだ……」
ともは、無表情になり、そう呟いた。
「……」
しばらくは、気まずい雰囲気と沈黙が少し続いた。しかし、時期に口を開いたのはともだった。
「おじちゃん……なんだか、パパみたい」
「俺が……?」
「うん、おじちゃんを見ていると、なんだかパパが生き返ったみたいに見えて……」
「そうか……」
もし、シンが本当に記憶を取り戻していたのなら、彼はともに朋也であることを明かすだろう。しかし、記憶がない以上、下手に喋ることはできない。
「久しぶりに養子ちゃんと出会えた気分はどうだい? 朋也」
「……!?」
ふと、背後から何の気配もなく忍び寄り現れた青年にシンは振り向いた。
「この間は、智代を無事に救い出したね? それどころか、初号機を倒してステージをクリアするなんてさすがだよ?」
「何故、お前がここに……!?」
「何故って……次のステージのボスは、この僕だからさ?」
と、親指を自分に向けてにやける青年に、シンは険しい表情で見つめる。
「で、どうする? 初号機を倒したんだから、俺は容赦しないよ……?」
残忍に笑む青年に、シンは身構えする。
「おじちゃん……」
嫌な雰囲気に包ま、ともは震えながらシンの後ろへ隠れた。
「……とも、お前はすぐに智代の元へ帰ってろ?」
「お、おじちゃん……?」
「早く!」
「……!?」
シンの叫びに、ともは驚いて逃げるかのように智代の元へ戻った。
「じゃあ……やろうか?」
邪魔者が居なくなったところで、青年は姿を変えた。その姿は、自分と同じ瓜二つのバッタを象った姿だった。しかし、シンのように緑色ではなく、体全体は黒く
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