第70話 雨の降ってる日には傘をさそう
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ぉちろんです! あ、そうだ。折角だしもっと私の秘蔵のコレクションとか見ます?」
「あ、見たい見たい! どんなのがあるの?」
すっかり武市と意気投合してしまったなのは。その光景を遠目から見つめていたまた子に最早言葉はなかった。あるのはただただ、深い溜息をつくばかりであった。
「はぁ、類は友を呼ぶって奴っすかぁ? まさかあの武市先輩とガチで語り合える輩が居るなんて……ん?」
ふと、また子はなのはの髪が乱れている事に気づいた。そう言えばなのはの髪は岡田によって無造作に毟り取られたまま何の手入れもしていない状態なのだ。乙女としてこれは非常に不味い。
それに、彼女は高杉晋介の大事な客人だ。その客人があんな不恰好では示しがつかない。
仕方なく、また子は懐から愛用のくしを取り出すと、背後からなのはの肩を掴み後ろへと引きずり出した。
「うえぇぇぇ! なになになにぃぃぃ!?」
「じっとしてるっすよ。全く、女の子がこんなぼさぼさの髪でどうするっすか?」
見ていられなかったのだろう。また子は慣れた手つきでなのはの乱れた髪を綺麗に整えていく。最初はなのはも驚き暴れまくっていたのだが、次第に落ち着き、遂には完全に安心しきったのかまた子に身を任せる感じになっていた。
「あ〜〜〜、何か良い気持ち〜〜」
「ただ髪を整えてるだけっすよ。あんま変な声出さない方がいいっすよ。でないと目の前に居るロリコンが変な事しそうになるっすからね」
「だから私はロリコンじゃなくてフェミニストですって言ってるでしょうが!」
何度も必死に弁解しようと、また子の中では武市はロリコンでしかないのであろう。この事実は揺るぎない事でもあったりする。
「うし、こんなもんすかね?」
そうこうしている内に髪の手入れが終わり、そっとなのはに鏡を手渡す。其処には、今までのツインテールな髪型から一変し、ショートな髪型へと変わっていた。分かりづらいと言う人は、ゲーム版の黒い人を連想して貰いたい。それとほぼ同じ感じなので。
「わぁ、良いかも。これ凄く良いかも。お姉さん有難う!」
「ま、まぁ……髪の手入れは女の嗜みっすからねぇ」
満面の笑みで礼を行って来たなのはに対してまた子は頬を染めながらそっぽを向いた。予想していたよりもキュンとなってしまったのだろう。
「いけませんよまた子さん! 貴方がそんな感情を抱いてしまってはいけません! 私のフェミ道がけがされてしまうじゃありませんか!」
「黙れロリコンが! それにこの子は晋介様の大事な客人なんす! 絶対あんたの毒牙に何て掛けさせませんっすからね!」
「毒牙じゃありません。フェミニストです!」
互いに激しい言い争いを始めてしまう武市とまた子。そんな二人の間で板挟み状態になってるなのは
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