第70話 雨の降ってる日には傘をさそう
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っすかねぇ」
頭を摩りながらまた子はなのはを閉じ込めていたであろう扉を開こうとノブに手を掛けた。
その瞬間であった。突如扉が外れ、また子の方へと倒れこんできたのだ。
「んなぁぁぁ!」
突然の事ではあったが、どうにか扉に押し潰されるのだけは阻止出来た。全身の力を駆使して鉄製の分厚くて重い扉をその細見の体で支える。
鉄製なだけあって見た目以上に結構重い。柔肌の乙女? なまた子には少々きつい代物でもあったりした。
「ど、どうなってるっすかぁぁ! 確か昨日までは壊れてなかった筈なのにぃぃぃ!」
確かに、昨晩また子がなのはを部屋に居れた際にはちゃんと扉は機能していた。それが今日になって扉に手を触れた瞬間これであった。
しかも壊れ具合から見るに一瞬の力で扉の金具その物を引き千切ったかの様にも見えた。
こんな事が出来るのは相当な馬鹿力を持った怪物位しか出来ないだろう。
少なくとも、あんな幼い子供に出来る筈がない。断じてある筈がないのだ。
「は〜、良かった良かった。間に合って……って―――」
厠から出てきたなのはの面前に広がる光景。壊れた鉄製の扉を必至に抑えるまた子の姿があった。
その光景を目の当たりにした瞬間、なのはの脳裏に不安が過った。まさかその扉を壊した事がばれるのでは……
それだけは不味い。人様の家の物を壊したとあってはその家の人達に何て言われるか―――
「い、今はちょっと……手が離せないから……あっち行ってるっすよ! ったく、一体誰がこれ壊したんすかぁ!?」
「あ、う、うん!」
半ば安心しながらなのははその場から離れた。どうやら扉を壊したのが自分だとばれなかったようだ。ホッと一安心しながらも事のついでにこの中を見て回れる。そんな大義名分を得たなのはは早速中の探検へと洒落込んだ。
元々好奇心旺盛な気が有る為かこの場所はその精神をくすぐる絶好の場所とも言えた。
何処を見て歩いても真新しい光景が飛び込んでくる。子供にとってこれほど楽しい状況はそうそうないだろう。
天井にはびこった太いパイプの束。床を歩く度に聞こえてくる金属音。無骨な壁に丸窓のついた鉄製の扉。どれもこれもなのはの好奇心を掻き立てるには十分過ぎる代物達であった。
ふと、なのはの耳に聞き覚えのある音が聞こえてきた。何処となく懐かしい音源だった。そう、毎朝欠かさず見ていたあの音源だった。
ちらりと外の光景を見つめる。外は生憎の雨だが江戸の町が明るく照らされている。即ち、今は朝と言う事になる。
そして、今日は平日。平日の朝に欠かさず見ている物―――
『不思議魔女っ娘ととこちゃん、はっじまっるよ〜〜〜』
ビクッ!!
思わず全身に電流が走った感覚を覚えた。そうだ、毎朝平日の7時にやる
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