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駄目親父としっかり娘の珍道中
第70話 雨の降ってる日には傘をさそう
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っている錆びついた刀では男の持っている立派な刀の一撃を防ぐ事は出来ない。だが、妙にも引っ掛かる。この男が言っているのは何も刀だけではないような気がするのだ。
 言葉の真意を考えていた銀時に向かい、青年は主室に腰に挿してあった自分の刀を鞘ごと抜き取り、それを銀時に向かい投げ渡したのだ。

「!!!!!」
「捨ててしまいなさい。骸から拾った刀を使っていては、貴方の中に眠る刃は錆びついたままでしかない。本当に大切な者を守りたいのならば、貴方の中にある魂の刃を錆びつかせてはいけませんよ。分かりましたか?」
「???????」

 青年の言葉に銀時はすっかり混乱しきっていた。どうやら青年の言っている言葉の意味が理解できていないのだ。投げ渡された刀とそれを投げ渡した青年を交互に見ながら銀時は意味が分からずしどろもどろしていた。

「私の言った言葉の意味が知りたいのでしたら、この先に私が開いている寺子屋があります。其処に来ると良いでしょう。それに、そちらの子が持っている骸の供養もしないといけませんしね」

 青年が今度はなのはを見る。視線がこちらに移り、なのはは思わず肩を震わせるが、青年の持つ暖かさと優しさに心を許したのか、ずっと抱きしめていた髑髏をそっと青年に差し出した。

「お前!」
「これ……私の……お父ちゃん……だから……」
「えぇ、しっかり供養して差し上げましょう。貴方の大切な家族ですからね」

 青年はそう言い、なのはから髑髏を受け取ると、今度は自分が差していた傘をその代わりにとなのはにそっと手渡した。

「え? この傘……」
「今日の雨は何時もより冷たく、痛いですからね、貴方はその傘で彼を守ってあげなさい。その傘なら、どんな雨からも守れますよ」

 そう言い、青年は髑髏を両手に持ち戦場を後にした。その後に続くかの様に、銀時となのはもまた戦場を後にした。
 




     ***




「アラバスタァァ!!!」

 意味不明な奇声を挙げながら現実世界へとカムバックを果たした。窓の外はうっすらと光が差し込んでいるようだが、同時に打ち付けるような雨音がする所から察するに今日は雨なのであろう。
 少々残念な気持ちになった。外が雨だと大概その日一日が退屈になってしまいがちなのだ。
 それに洗濯物も乾かないし湿気が溜まるので部屋にカビが生えやすくじめじめした日は不快極まりないこの山の如しだったりする。

「ところで……ここ、何処?」

 気が付けば何処とも分からぬ場所に寝かされていたようだが、あまりにもその場所が殺風景過ぎた。あるのと言えば簡単な寝床位であり吹き抜けの窓位しか真新しい所がない。早い話が牢獄みたいな場所だったのだ。
 出口と思わしき所は一枚式の分厚い鉄製の扉のみだが、
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