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駄目親父としっかり娘の珍道中
第70話 雨の降ってる日には傘をさそう
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も俺らじゃ親父さんの骸全部持ってくのは無理だ」
「うん、これだけで良い……これだけで、良いから―――」

 納得し、髑髏を抱き抱えてなのはは立ち上がった。その刹那だった。さっきまで自分たちの体に打ち付けられた雨が突然止んだのだ。
 雨が止んだのかと思ったが、目の前では未だに雨が降っている。一体何故?
 疑問に思った二人は空を見上げた。二人の頭上には大きな傘が差されており、その傘を持つ一人の青年が立っていたのだ。

「こんな雨の日に傘もささないでいると、風邪を引きますよ」
「!!!!」

 突然現れた青年に二人は怯えだす。なのはは銀時の後ろで震えており、銀時は持っていた刀の柄に手を掛けて抜刀の準備をしていた。
 戦場において骸漁り同士の小競り合いは珍しくない。増してや銀時やなのはと言った子供は恰好の獲物にされ易いのだ。
 故に銀時はこうして刀を持ち自分の身を守り続けていた。
 その銀時が、今は自分だけじゃなく後ろに居るなのはをも守ろうとしている。本当に一体何処で自分はこんなに変わってしまったのか。つくづく疑問に思えてしまった。
 そんな二人を青年はただじっと見つめていた。特に襲い掛かる様子もなければ切り掛る素振りも見せない。
 それに、青年の身に着けている服装や腰に挿している刀を見るからに明らかに骸漁りではなさそうだ。

「そんな風に構えなくても大丈夫ですよ。私は別に貴方達を取って食おうなんてしませんから。ただ、この辺りで死肉を食らう子鬼が居ると言うんで興味本位で訪れただけですからね」
「………」

 青年の言葉に二人は無言のまま睨んでいた。今の二人はお互いしか信用できない。他は全て敵でしかないのだ。生き残る為に見えるもの全てを疑わなければならない。何とも悲しい事であった。

「その目は、子供がする目ではありませんね。きっと、その目で今まで多くの修羅場を見てきたんでしょう。そして、その刀もまた、その修羅場から自分の身を守る為に其処に転がっている骸から剥ぎ取った代物、と言った所なんでしょうかね?」

 青年の言い分は当たっていた。銀時が手にしている刀はそこいらに転がっている骸から適当に拝借した刀だ。中は既に錆びついており一文の値打ちもない。だが、そんな刀でも自分の身を守る位の役には立つ。
 青年はその刀を一目で見抜いたのだ。

「ですが、貴方はその刀で自分だけではなく、後ろの子をも守ろうとしている。随分と優しい子鬼さんじゃないですか」
「………」
「でも、そんな錆びついた刀では、その子は愚か自分自身も守れませんよ。もし、私が怖い人斬りだったら、そんな錆びた刀諸共貴方を真っ二つに出来たでしょう。今の貴方はとても弱弱しい刀しか持っていない」

 何を言いたいのかさっぱり分からなかった。そりゃ確かに銀時の持
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