MR編
百三十八話 違和感
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いだろこんぐれぇ」
「あら。なら労いの意味も込めて私の特性コーヒーをあげても良かったのよ?“子供舌の”会計士さん?」
「要らん、ったく……」
クスリと笑いながら悪戯っぽく言った杏奈に、涼人はしかめっ面で答える。
杏奈はその様子に満足げに澄まし顔を作ると、椅子に深く腰掛けて一息つく。
一瞬の静寂が場を包み……
「仲良しだねぇ」
「「ないわよ(ねぇよ)!!」」
打ち合わせたように息ぴったりの突っ込みが入った。
――――
「そういえば、ねぇ、涼人くん」
「あ?」
そのまま一悶着あってようやく再び一息吐いたとき、不意に美雨が口火を切った。
「今日さ、明日奈ちゃんに会った?」
「明日奈?あぁ、今朝会ったな、校門で」
それが?と言うようにココアを飲みつつ美雨を見た涼人に、美雨は少し迷うように首を傾げた。
「そっか。うーん……ねぇ、今日の明日奈ちゃん何か変じゃなかった?」
「あん?」
「あら……美雨もそう思った?」
「あ、やっぱりアンも?」
やや自信なさげに言った美雨に、杏奈が興味深そうに言って二人が目を見合わせた。
「なんだか変だったよね?何時もより上の空って言うか……」
「えぇ。普段の結城さんにはもっと明るさがあるけど、今日は奇妙な程それを感じなかったわね……」
「…………」
真面目な顔で話し出す二人に、涼人はカリカリと頬を掻く。と、二人の顔が涼人に向いた。
「「で?」」
「……で?って……なんだよ」
ココアを呑みながらもまるでコーヒーを呑んだように渋い顔をしたリョウに、杏奈が言った。
「桐ケ谷君も会ったんでしょ?何か感じた所はあったんじゃないの?」
「……さて、な」
「あー、誤魔化してる」
肩をすくめて言った涼人に、美雨が不満そうに頬を膨らませて顔を覗き込んで来る。面倒そうに唸って、涼人はすぐに顔を逸らした。
「あのな、オレ個人の印象でどうこうこの場で言ってどうすんだよ。特に明日奈の現状が変わるわけでもあるまいに」
「だってー」
「まぁ、どうこう成るとか、成らないとかはともかく、彼女の心配をしておく事は悪い事じゃないんじゃないの?」
「むぅ……」
そう言った杏奈に、涼人が唸る。
実際の所、彼女が言っている事は正論だ。何も彼女をネタにして笑おうと言っている訳ではないのだ。純粋な心配でなら、話し合っておくことにも価値はあろう。
少し息をついて、涼人は杏奈を見た
「やけに今日はこだわるな」
「まぁ、ね。ちょっと気になってるのよ。ほら、あのギルドの子達の援護したでしょ?あの事と関係あるんじゃないかって」
「うん、ちょっとタイミングが近過ぎたもんね……」
「ふむ……」
彼女達の言いたい事も分かる。リョウ自身も、アスナの意気消沈が例のギルドの一件以降
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