暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
MR編
百三十八話 違和感
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、と……

「ん、お、明日奈〜」
「…………」
校門の向こうに見慣れた栗色の髪の後ろ姿を見つけて、涼人は片手を上げて声を上げる。が、明日奈と思われるその少女は全く反応する事無く、何処か覇気の無い足取りでトコトコと歩いて行く。

「……ん、あら?別人か?」
「いや、明日奈だよ。間違いない」
「はは、お前が言うなら違いねぇ」
だとすると聞こえなかったか、音楽を聴いていたりするかのどちらかだろう。彼女が登校中にイヤホンを付けている姿を見た事は無いが、まぁどちらでも良い。

「おーい、明日奈さーん」
「…………」
「……あらっ?」
今度はより近くで、より大きな声で言ったのだが……無視された。と言うより、気が付いていないような……?

「明日奈?なぁ、大丈夫か?」
「ふぇっ!?あ、き、キリト君!?お、おはよう……!」
「あぁ、うん。おはよう」
「おーっす、なんだなんだ、二度も声掛けたんだぜ?」
「えぇっ!?ご、ごめん。気が付かなかった……」
涼人が言うと、明日奈は驚いたように目を剥きぺこぺこと頭を下げる。どうやら本当に全く気が付いて居なかったらしい。

「おいおい何だよまだ正月ボケか?それとも二日前の勢いの反動ですか……っと」
「ち、ちがうよー!」
肩をすくめて笑う涼人に焦ったように明日奈は否定した。その様子にますます笑いながら、涼人は先に歩いて行く。

「俺先行くわ、後でなカズ」
「あぁ」
そう言いながら飄々とした様子である居て行く涼人の背中を見ながら、明日奈は何処となく安心を。和人は内心で、感謝を感じていた。

「なぁ、明日奈……何かあったのか?」
「えっ……?」
後ろに聞こえる声を聞きながら、立ち去った涼人は呟く。

「……やれやれ、単純な話だと良いがな……」

────

「ほれ、終わったぞ会長」
「ん、お疲れ」
完成したデータをそのまま杏奈のパソコンに送ると、軽く目を通した杏奈が頷く。

「いいわ。これで今日の分は全部よ」
「ふー……ったく何で新学期早々仕事があんだよ……」
「私に聞かれてもね。あるものはあるんだから仕方ないわ」
言いながら、杏奈は持参したポットからコーヒーを注いで一息をつく。と、不意に生徒会室の扉が勢いよく開いた。

「ただいまー!買ってきたよ〜!あ、おわった?」
「おーう。何とかなぁ」
「ま、副会長パシったんだからその分は働いて貰わないとね」
部屋に小走りで飛び込んで来たのは、副会長の美雨だった。彼女は杏奈の言葉にニコリと笑うと、手に持った缶ココアを涼人に手渡しながら言った。

「さっすが!私もお使いしてきた甲斐があるねぇ。はい涼人くん!ご褒美!」
「はいはいThanks.パシったってお前な、こん中で一応一番働いてんの俺なんだから良
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