第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十九日・夜:『竜王の殺息』
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・》滅』を果たす為だけに。蹴りと銃撃の反動を利用して、空中で宙返りした鎧武者を討つ為に再び立ち上がる。
絶対数を減らしたルーンカードの為に、崩かかりながら立ち上がろうと。
(行くぞ、“悪心影”────合当理を吹かせ!)
《応よ────最大出力じゃ!》
その背中の、螻蛄の前肢を模した偏向板付きの双発火箭を吹かす。低い駆動音は、しかし直ぐに最大出力に達して爆音と排煙、爆風を撒き散らしながら────霰弾でも残ったルーンカードを吹き飛ばして、今度こそイノケンティウスを霧散させた。
そしてその勢いは、前に進む力へと。即ち、反転攻勢を火織へと仕掛けて。
《────“神明剣”!》
「くっ────!」
先んじて、火織が『刀』を振るう。投げ付けられた『國友筒』を、“七閃”にて細切れにして。
そんな神業、それすらも取り返しがたい隙となるのが────実戦だ。その火縄銃の背後から、武者は迫る。それが裏柳生の“神明剣”。
《勝負、あったな》
「っ……柳生の……!」
《抵抗は無駄だ、へし折るぞ》
目前に着地し、“七天七刀”を握る火織の右手首を握り止めた嚆矢。先に言った通り、力ならば嚆矢の方が上。そして、テクニックとスピードを殺されてしまえば火織には為す術もない。
加えて、その技法は“裏柳生新影流兵法・小太刀崩し”。本来は相手の脇差しを利用して体勢を崩し、居合を使えなくする技。その崩しとして、火織の右手を封じて居合を阻む。
《知ってるかもしれねェが、柳生には左手一本の居合もある。諦めろ》
「…………諦めろ、ですか。今まで私達がどんな思いをしながら、こんな事を続けてきたかも知らない貴方が、それを言いますか」
《聞く気はない、興味もない。魔術士────お前達は、殺す》
“明身”を知るのか、目を閉じた火織はふう、と一つ息を吐いた。その間も、嚆矢は一切たりとも力を緩めない。
何しろ、気を緩めれば振り払われそうな腕力だ。その慮外の強力には、ただ舌を巻かされる。
そして、火織はゆっくりと瞼を開く。魅了されそうな美貌で、それはまさに刀の如き美しさで。
「余り、『聖人』を舐めない事ですね────吸血魔術士!」
その左手、鞘を握っていた左手が鞘を抜き放ちながら投げ捨てた。それとほぼ同時に、嚆矢の右手の指と手首、肘に鋭い痛みが走る。
走ると同時に、反り返る。それで漸く、今まで苦渋を舐めさせられていた“|七閃《な
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