ターン17 冥府の姫と天球の司
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?なんて、思ったり………してるんだけど、どうかなー、なんて」
え。
「え、えっと夢想さん?」
「だから、もし暇なら私とどこか行かない?なんて」
マジですか。とは言わない。言いたいけど言わない。あんまりがっつくのはみっともないのだ、ここはクールに行こう。
「へぇ……僕とぉうふっ!!?」
舌噛んだ。すごく痛い。いかんいかん、あくまでもクールに。一度落ち着くためにお茶を飲もうとしたら、手が震えてペットボトルが倒れた。
「あっ」
僕の方に倒れたんならまだよかった。ああ濡れちゃったな、で済んだだろう。ただ問題は、それが夢想のいる方に倒れたということ。そしてもう一つは、その夢想の着ている学生服は光の結社ほどじゃないにしろ白を基調としたものであったこと。そして極めつけは、普段水かお茶しか飲まない、それも飲み物代節約のために水筒を常備している僕がたまたまその日に買っていたのが在庫処分で半額になってた世界一染みが取りづらく、完璧に染み抜きができる洗剤の発明に成功したらノーベル賞間違いなしとの呼び声も高い対洗濯用最終兵器、コーラだったことだ。
「すみませんでした」
「い、いや別に、ね。ほら、洗えば………」
あせあせしながらコーラのかかった部分を持ち上げて手でこするジェスチャーをして見せる夢想。気を使ってくれてるんだろうけど、それは無駄だ。あの手の飲み物の染みがどれほど恐ろしいものなのか、僕は嫌というほど知っている。小さいころに洗うよう言われて数時間ほど頑張ってみたものの徒労に終わり、最終的には頭に来て白い絵の具を上から塗りたくってやったら速攻でばれて盛大に怒られたのは嫌な思い出だ。
「もうちょっと持ち合わせがあれば今すぐにでも弁償できるんだけど、その………」
「う、ううん!本当に気にしなくていいから、ね!?だって!」
なまじ僕らの経済状況を知ってるだけに下手に文句を言うこともできない彼女の優しさが胸にしみる。これもみんな貧乏が悪いんや。
「と、とりあえず何かしらの服を用意して―――――」
「手ぬるいですわ!」
ちょっと落ち着いてきたところで、僕の背中に鋭い声が叩き付けられる。それから少し間を開けて、スパーンと小気味いい音を立てて何か柔らかいものが背中に当たる感覚。振り向いてみると、白いレースの手袋が床に落ちているのが見えた。
「そこのガサツなあなた、先ほどから無礼なことをしそうだったので監視させていただきましたが、あまりにもレディーに対する態度というものがなっていません。よってワタクシから本場イギリス風の決闘を申し込ませていただきます!」
ババーン!と音が付きそうなぐらいの勢いで現れたその女の子は、左手に白いレースの手袋をつけた純白のドレスにふわっふ
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