マブラヴ
0884話
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うが重斬刀を振り上げようとした、その時。既に俺はアダマン・ハルパーの刃を連城機のコックピットへとピタリと当てて撃墜判定を与える。
そもそも、お互いの機体性能が違いすぎるのだ。
だが、次の瞬間。まるで俺が連城機を倒したのを見計らっていたかのように残る1機が突撃砲のトリガーを引き……既にその場にニーズヘッグの姿は無く、横を通り抜け様にエナジーウィングで最後の1機にも撃墜判定を与えるのだった。
「……ったく、つくづくあんたってばあたしの予想を超えてくれるわね。勝てるとは思ってなかったけど、無傷でだなんて……」
模擬戦終了後、A-01部隊側の陣地へと向かうと夕呼が顔を会わせるや否や、そう告げてきた。
その隣ではA-01部隊の隊長でもある連城もまた、苦笑を浮かべている。
「音に聞こえたニーズヘッグ。その強さをしっかりとこの目で確かめさせて貰いました。さすがにシャドウミラー最強と言われるだけの実力で、自分の未熟をこれ以上無い程に痛感しました」
ビシリと敬礼をした連城の言葉に、夕呼が溜息を吐く。
「まぁ、確かに勝てるとは思ってなかったけど……それよりも連城、敬礼はいらないって言ってるでしょ。何度も言わせないでちょうだい」
「ですが香月副司令、アクセル・アルマー代表に対して……」
「いいのよ、あたしとアクセルは友達なんだから。ねぇ?」
そう呟きながら告げてくる夕呼の言葉に、ちょうどこちらへと向かって歩いてきていた恭子が口を開く。
「あら、私もアクセルさんとは友達なのを考えれば、香月副司令と私もお友達という事になりますね」
「ええ、そうなれるといいとは思っていますわ」
「あら? 私とお友達になるのは何か不都合でも? 煌武院家に対しての遠慮でもあるのですか?」
その言葉に、一瞬……ほんの一瞬だが、夕呼の頬が引き攣る。
煌武院? 確か以前に……そう、月詠がそこの家に仕えているとか聞いた事があるな。
「滅相もありません。……ですが恭子様、そろそろ時間の方は大丈夫なのでしょうか? 崇宰家の次期当主ともなれば、色々とお忙しいでしょう?」
「ふふっ、私もお友達であるアクセルさんとゆっくり話す時間が……」
夕呼と恭子がそれぞれに笑えない笑みとでも表すべき笑みを浮かべて話をしていると、不意に1人の斯衛が走ってきて恭子に1枚の紙を渡す。
それを見た恭子は、一瞬だけ視線を鋭くし……
「申し訳ありません、アクセルさん。ちょっと急な用事が入ってしまいましたので、私はこの辺で失礼させて貰います。香月副司令も、また。今日はとてもいいものを見せてもらいました」
小さく頭を下げ、そのまま斯衛を引き連れて去って行く。
……さて何が起きたのやらな。面倒事じゃなきゃいいんだが。
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