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乱世の確率事象改変
彼らの黒の想い方
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、彼は月光の馬首を巡らせて戦場を俯瞰し始める。
 同じように戦場を眺めながら、何が違うのかを考えてみようとするも……間の悪い事に赤い髪の女が顔良を背中に背負ってこちらに向かい来た。

「よぉ、ご苦労さん。思ったより早かったな」
「んー、この子と戦わなかったからねー……って、なんで楽進がこんなとこにいんのさ……」

 わたしの方を見て一言。彼女としても予定外だったらしい。目を真ん丸にしていた。

「俺が呼んだ。とりあえず説明は後にして……お前ら、顔良とその部隊の見張りは任せるよ。武器を持った奴とか変な動きした奴らは殺して構わん。同時に、楽進殿の部隊と一緒に此処を纏めといてくれって稟に……郭嘉に伝令を送れ。追加指示があれば従ったらいい」

 言われて直ぐ、彼らは張コウから気絶している顔良を受け取る。
 しかし……なんなのだその指示は……。まるで自分達は此れから別行動をすると言ってるようにしか聞こえない。
 試していたのだからさっき言った事ではない。今から何をするつもりなのか……私には分からなかった。

「ちょ、ちょっと待ってください! まさか部隊を置いて行くんですか!?」
「ん、そうだけど? 戦場の範囲は決まってるから皆が皆戦えるわけじゃなし、顔良の部隊は抑えられたし元譲とか霞とか白馬義従とか居るから、こいつらは先に休ませても問題ない」
「たった三人で何をすると――」
「あははっ♪ 楽しい事に決まってんじゃーん? あたしも秋兄も欲張りだかんねー♪」

 ケタケタと笑う張コウに思わず眉を顰めた。
 彼の考えている事が分かるのか? たった三人で何が出来るんだ。独断専行は他の部隊の邪魔になるだけだろうに。
 自分には分からないのがもどかしい。教えて欲しいが……まだ教えてくれそうにない。道すがら教えてくれるだろうけど、張コウが分かっているというのが少しばかり苛立ちを生んだ。

「秋兄ぃー、乗せて?」
「お前の分の馬も用意させてるから却下だ」
「えー、仕事頑張ったんだからいいじゃん」
「戦は終わってないから仕事中だろ?」
「……ケチ!」
「わがまま全部聞いてやると思ったら大間違いだバーカ」
「この前の夜はあんなに熱く抱きしめてくれたのにぃー! 聞いてよバカ共ー! あたし秋兄に遊ばれたぁ!」

 きゃいきゃいと騒ぐ張コウ。此処が戦場だというのに、緊張感の欠片も無い。
 仲間を裏切り、あまつさえだまし討ちをした後でもケロッとしている。私には……まるで理解出来ない。
 ただ後に、此処に居る輩は全て、私には理解出来ない人間ばかりだったと初めて気付いた。

「おうおう、また無自覚で勘違いさせるような事しやがったのかよ」
「はぁ……記憶失っても女たらしは変わらねぇのか、あんた」
「そろそろぶっ殺してもいいんじゃ
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