暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
SAO編 Start my engine and step on blue light in Aincrad
Chapter-9 新婚生活
Story9-11 別れ
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MHCP試作一号、コードネーム(Yui)と(Rei)。

それが、わたしと彼女です」

「つ、つまり、AI?」

アスナはおそるおそる聞く。

「プレイヤーに違和感を与えないように、私たちには感情模倣機能が与えられています。

偽物なんです、全部、この涙も…………

ごめんなさい、フローラさん、アスナさん…………」

2人の両目から、ぽろぽろと涙がこぼれる。

それは、光の粒子となって蒸発した。

フローラはレイを抱き締めようと、手を伸ばすが、レイは微かに首を振る。

アスナもユイに触れようとしていたが、同じく拒否されたようで悲しそうに言葉を絞り出した。

「でも、でも、記憶がなかったのは?AIにそんなこと起きるの?」

「2年前、正式サービスが始まった日…………」

子供達が瞳を伏せ、説明を続けた。

「何が起きたのかは私たちにも詳しくは解らないのですが、カーディナルが予定にない命令を私たちに下したのです」

「プレイヤーに対する一切の干渉禁止。

具体的な接触が許されない状況で、わたしたちはやむなくプレイヤーのメンタル状態のモニタリングだけを続けました」

恐らく、その命令を下したのは、茅場だろう。


その人物に関する情報を持たないであろう子供たちは、幼い顔に悲痛な表情を浮かべ、更に言葉を続けた。

「状態は最悪と言っていいものでした。

ほとんど全てのプレイヤーは恐怖、絶望、怒りといった負の感情に常時支配され、時として狂気に陥る人すらいました」

「私たちはそんな人たちの心をずっと見続けてきました。

本来であればすぐにでもそのプレイヤーのもとに赴き、話しを聞き、問題を解決しなければならない。しかし、プレイヤーにこちらから接触することはできない」

「義務だけがあり権利のない矛盾した状況のなか、わたしたちは徐々にエラーを蓄積させ、崩壊していきました」

しんとした安全エリアに、ただ子供たちの声が流れる。

「ある日、いつものようにモニターしていると、他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメータを持つ4人のプレイヤーに気付きました」

「その脳波パターンはそれまで摂取したことのないものでした。

喜び、安らぎ、でもそれだけじゃない。

この感情はなんだろう、そう思ってわたしたちはその4人のモニターを続けました」

「会話や行動に触れるたび、私たちの中に不思議な欲求が生まれました。

そんなルーチンはなかったはずなのに」

「4人のそばに行きたい。直接、わたしたちと話をしてほしい。

少しでも近くにいたくて、わたしたちは毎日、4人の暮らすプレイヤーホームから1番近いシステムコンソールで実体化し、彷徨いました」


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