第150話
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いるようだった。
葉書サイズの紙切れが吐き出されている。
運転席でのびている愛穂の上から腕を通すようにして、桔梗はその紙切れを取った。
そして、そこで固まった。
紙切れにはこうあった。
『警備員第八四支部、鈴山高等学校所属、才郷良太から報告あり。
第五学区内、事件現場での証言を元に、「書庫」より照合。
一方通行、この者を殺人未遂事件の重要参考人として手配する。』
一緒に吐き出された別の用紙には、見慣れた人物の顔写真があった。
人違いという可能性は、なかった。
「桔梗!」
と、横から聞き慣れた声が聞こえた。
その方に視線を向けるとこちらに走ってきている麻生の姿が見えた。
「ようやく見つけた。
そこにいるのは愛穂か。」
ちらり、と車内に視線を向け気絶している愛穂に視線を向けた。
吐き出された葉書サイズの紙切れを手に持ちながら桔梗は言う。
「あなたに連絡しても電話に出なかったから、とりあえず病院に連れて行こうと思って。」
「何故かは知らないが妨害がここ一帯に仕掛けられている。
俺も何度かお前達に連絡したが、全く通じなかった。」
車内で気絶している愛穂の容体を確認しながらそう説明する。
能力を使って干渉すると、あの時倒れた警備員と同じ容体である事が分かった。
やっぱりか、と桔梗には聞こえない声で呟いた。
麻生の説明を聞いてなぜ妨害が仕掛けられているのか、桔梗は考えているようだ。
車内を見渡すとそこには一枚の写真があった。
輪郭はぼやけている写真の中央にはあのヴェントが写っていた。
写真は粗く、これがヴェントである事を確認できるのは実際に会ってみないと分からなかっただろう。
その他には警備員が何人か倒れている。
「愛穂はどうなの?
治りそう?」
「これと同じ症状の奴を何人か見かけて治療したが意味がなかった。」
「それじゃあ・・・・」
麻生で治せなかったら本当に病院で見て貰うしかない。
そう思っていたが麻生はこう言う。
「だが、これは原因が分からないから治療できなかっただけだ。
原因さえ分かれば治療はできる。」
そして、麻生の頭の中には答えが完成しつつあった。
ヴェントの言葉、この写真、これを見た愛穂がどう思うか。
ジグソーパズルのようにヒントを組み上げていく。
(ヴェントは自分の事を神の右席と言っていた。
この写真を見た愛穂はどう思う。
明確に敵意や悪意を持つはずだ。
神、悪意。)
そうして、ようやく閃いた。
(そうか、天罰術式か。
これなら広範囲で人を昏倒させる事ができる。)
天
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