第5話「旅行先ではだいたいケンカする」
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ピーをむさぼりながら銀時は思う。
――なんで……なんで俺ばっか。
スタンドたちが渦巻く地獄のような場所で無理矢理働かされ、マダオよりも使えないとののしられ、妹にはアッパーカットを入れられ、挙句に閣下たちのUNOの雄叫びで毎晩眠れない始末。
――俺ばっかり……。
主食は柿ピーのみで腹も存分に満たされない。妹も軽蔑の眼差しで見てくるばかりで声をかけることすら許されない。兄の威厳も人間の尊重も何もかも潰された。
そして残るのは不満。
不満、不満、不満が募る。
【限界?】
襖からスッと現れたレイが問う。
「ああ、俺 限界突破だよ。もう知るか。こんなボロ旅館スペースシャトル乗ってとっとと出てってやる」
【出ていきたいなら出てけばいいさ。私は別にかまわないけど、閣下になった仲間達は永遠にUNOをし続ける。あんたの妹だってこのままお岩にこき使われるのよ】
それはつまり人質。
言われなくてもわかっていたこと。だから仙望郷から出ることも何もできずにいた。
スタンドたちを掌中に収めるお岩がいる限り一生ここで働かせられるだろう。
そう、お岩がいる限り。
「だったらやること決まってんだろ。スタンドがなんだ。閣下も女将もクソも関係ねェ」
募った不満はやがて憎悪に変わっていく。
そして憎悪もまた別の形へ変貌する。
「全部まとめてこの旅館ごとブッ潰す!」
仲間を傷つける者全てを倒す敵意を宿した眼光に。
【その眼だよ。その眼を待ってた】
直に受けた宣戦布告にレイはフッと笑みをかけた。
【初めて会った時から、あんたはこの温泉旅館に革命を起こす男だと信じてたよ。私も少ない賃金でスタンドをこき使い私腹を肥やす女将のやり方にはもうウンザリだったんだ。ギン、あんたは女将に匹敵するスタンド使いの素質を持ってる。一緒にこの温泉旅館に革命を起こそうじゃないのさ】
淡々と反抗の意を語るレイから勧誘の手が差し伸べられる。
もちろん銀時はその手を取る気だったが、一つ疑問があった。
「……勝てるのか。あの女将のスタンドに」
十年前に他界したお岩の亭主――TAGOSAKUはその後もスタンドとなり、彼女と共に仙望郷を牛耳っている。それゆえにTAGOSAKUはとてつもない霊力の持ち主だ。彼が発する強大な霊圧は、生身の銀時すら押し潰そうとするくらいのものだった。
真剣な顔つきで問われたレイは自嘲気味な表情で告げる。
【そうだね、私みたいな並のスタンドが束になっても敵う相手じゃない】
「なら……」
【けど戦うのは私たちだけじゃないよ】
レイの言葉に続くように、襖から三体のスタンドが現れた。
冴えない顔にメガネをかけた少年、まだ容姿に幼さが残る少女、髪を一つに結い上げた二十歳近くの女性。
そ
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