第1章 群像のフーガ 2022/11
9話 頼りない壁
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燐ちゃん、難しいこと考えてる?」
「………人なんて、違いを探したらキリがないのにね。って考えてただけ」
「あ、ごめん……難しいことはちょっと………」
「じゃあ聞くな」
ヒヨリとの会話で終わりそうにない問答を止め、今後の目標に思考を巡らすことにした。
第二層ではやるべきことが幾つかある。隠しダンジョンや隠しクエストもそうだが、とあるエクストラスキルの習得も急務だ。そのためには少しでも時間が惜しい。とにかく先ずは拠点を確保した後にヒヨリを置いて全速力で行動する。
「あ、そうだった。燐ちゃん」
「どうした?」
振り向くと、腰の後ろに手を組んで笑顔を覗かせるヒヨリがいた。
第一層のボスを討伐したにも関わらず、暗澹とした幕締めとなったなかで、一際の温もりを持った相棒の表情は、やがて一つの言葉を俺に投げかけた。
「お疲れ様!」
「………助かった。ありがとうな」
「え? なにー? 聞こえなかったよー?」
「………晩飯は牧草だな」
「私、頑張ったよね!? 酷いよね!?」
労いを掛けられた後、しっかりと後ろについてくる足音を聞きながら、やや照れくさい謝意を当人に告げることなく、仮想世界の空気に紛れ込ませつつ、足早にウルバスを目指し歩を進めた。
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