暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第1章 群像のフーガ  2022/11
9話 頼りない壁
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
クソ共が!! 助けてもらった分際で文句垂れてんじゃねぇぞ!!」


 自分でもこんな声が出るのかと若干驚きを禁じ得なかったが、キリトに向けられた罵声は止み、全員が呆気にとられたように視線を向けてくる。その中にはキリトやアスナやエギルなんかも含まれていたが、構わず俺はそのまま叫び続けた。頼りない壁に向けられた筋違いな憎悪を雪ぐために。


「さっきから聞いてりゃ、見殺しにしただの情報隠してただの好き勝手言いやがって………てめえらに聞くけどよ、ベータテスターで何が悪いんだよ?現に今いる奴等はそこの()()()()の助言に助けられたんじゃねえのか? 命救ってもらってお礼の一つも言えねぇのかよ? それにLA欲しくて誰か見殺しにするってんならもうちょっと(プレイヤー)減らすだろうが。前線に女を立たせておいて、自分達はガタガタ震えてた癖に今更群れて辻褄合わねぇ御託吠えだしやがる。気に入らねぇんだよ腰抜け共が………少しは足りねぇ脳味噌でモノ考えて喋れってんだよ!!」
「………くッ!」
「言いたいことあんならハッキリ言え! お行儀良く他人面してるてめえらもだ! 俺が間違ってるってんなら堂々と聞かせてみろ!!」


 唇を噛んで言葉を探すシミター使いの襟を掴んで顔面の至近距離で追撃し、さらに全体を睨んで吼える。既に誰も声をあげようとするものはなく、再び沈黙が立ち込める。キバオウが何か反論でも唱えてくるかと身構えたが、ただ恨めしそうに睨むだけで無言のまま。俺はシミター使いを突き離し、肺に籠った熱を押し出すように大きく空気を吐くと、キリトの襟を引っ張って回収しながら主を失った玉座の裏、二階層へ続く扉へとヒヨリと共に向かう。
 その途中でアスナとエギルと目が合った。俺はとくに何かするわけでもなく視線を逸らしたが、キリトはバツが悪そうに微笑んで返すのを視界の端で見つつ、ボス部屋の最奥の扉を押し開けてキリトを離すと、その先の螺旋階段を登ってゆく。


「………あのまま知らないフリをしていれば、リンは何も負わなくて済んだんじゃないか?」


 申し訳なさそうに、キリトが訪ねてくる。恐らくは自分に向けられるべき憎悪(ヘイト)が少なからず俺に流れたことによる自責か。


「元は俺に吹っかけられた因縁だ。誰かに壁役なんかやってたら笑い話にもならないだろ。だからヘイトを分散させただけだ。………それに、ましてや女の子に壁役やらそうとしてたキリト君だからな。荷が重いだろう」
「そ、それ、まだ言うのか!? だったら、リンだって得意げに長物使ったわりには外してたじゃないか!」
「外してねえよ。第一、そのおかげで《ソニックリープ》がクリティカルヒットしたんだろうが」


 しかし、キリトが前に出て憎悪を受け止めたことこそ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ