二十四話:ご利用は計画的にな
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まえば自分は二度とここを離れられなくなると思い、主の手を振りほどく。
「………それでも僕は、許せない」
それだけ言い残し、背を向ける。彼女達には本当に感謝している。
しかし、自分は“みんな”の為に復讐を果たさなければならないのだと。
そして、優しい彼等を巻き込むわけにはいかないと、そう考えて歩み始める。
すると、そこに自分以外の足音が聞こえてくる。
恐らくはまた彼等のうちの誰かが自分を止めに来たのだろうと思うが、足を止める気は彼には一切なかった。
むしろ、足を速めて振り切ろうと、それがダメならまた手を振り解けばいいとそう考えた。しかし、次の瞬間に起きた出来事は彼の予想を大きく超えていた。
「ふざけてんじゃねえよ!」
「イッセー!?」
自分の脳が大きく揺さぶられる、周りから悲鳴が聞こえる。
気づけば自分は地面に打ち付けられていて、それを怒りの形相をしたグレモリー眷属、
唯一の『兵士』―――兵藤一誠が見下ろしていた。
彼はそこで自分の頬に違和感を感じ、ようやく自分の現状を理解する。
ああ、自分は彼に殴られたのだと。そこまで理解して出て来た感情は殴られた怒りでも苦しみでもなかった。ただ純粋な疑問だった。なぜ、彼は自分のような人間の為にこうも怒っているのか。
分からないままにも彼は起き上がり再度、その場から立ち去ろうとした。
イッセーは自分の主の気持ちを蔑ろにした自分に怒って自分を殴ったのだろうと勝手に結論付けて歩き出そうとして―――再び殴られた。
今度は倒れこそはしなかったが、口の中に鉄臭い血の味が広がる。
本当になんでイッセーは怒っているのかと彼はますます分からなくなった。
そうして悩んでいる彼の耳にイッセーの言葉が飛び込んできた。
「おまえを見ているとな、ムカムカするんだよ!
ひとりで世界中の不幸を背負ったような顔をしてんじゃねえ!」
そう言われたところで今の今まで全く出てこなかった怒りが木場の胸に湧き上がってくる。
何も辛い経験をしてきたことが無い彼がそんなことを言っているのが許せなかった。
まるで、自分の不幸を分かっているかのような口ぶりが許せなかった。
「君に……僕の何が分かるって言うんだい!?」
彼にこの気持ちなんて分かるわけがない。自分の事なんか何一つ分からない。
そんな気持ちを込めて木場は彼を殴り返した。
その拳を彼は避ける素振りすら見せずに自らの顔面で受け止める。
一切怯むことなく、再び怒りの形相で睨みつける。
彼もまた、木場に対して怒りを持っていた。
しかし、それは八つ当たりなどの子供のような怒りではない。
もっと、強く、もっと、優しい、怒りだった。
木場が自分達を頼ってくれないことに怒っ
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