Interview13 アイリス・インフェルノ
「さすが記者のタマゴ」
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「また一歩前進した」と嬉しそうにしていたが、あれはそういう意味だったのか。
「ただ、次元刀の言う通り、その強度は確かなもの。穴を開けるだけのマナを照射したら、イリスは実体を保てなくなるかもしれない。消滅するわけじゃない。でも肝心な時にそばにいられない。それが不安だわ」
イリスが見つめたのは、ルドガーとエル、それにレイア。クルスニク血統者である自分たちと、契約者。それだけがイリスにとっての不安材料。ジュードらは含まれていない。
それでもあえてルドガーは口にした。
「俺は安心した。実体化してないなら、傷ついたり血を流したりすること、ないから」
「……イリスは消えていたほうがいい?」
「そうじゃないよ。でもイリスって、自分のこと度外視で突っ込むとこあるから。嬉しいんだけど、同じくらい不安になるんだ。もちろんそういう心配しなくていいなら、いつだってそばにいてくれたほうが俺だっていい」
「ルドガー……ありがとう。本当に優しい子ね」
イリスはまるで眩しいかのように目を細め、微笑んだ。
ルドガーらはトリグラフ港に行き、借りられる船を探した。
分史世界でもクランスピア社は隆盛のようで、ルドガーが社章バッジを見せてエージェントだと名乗ると、大した時間もかからず一隻のクルーザーを調達できた。
かくして、彼らはクルーザーに乗って海を駆け、断界殻を目指すこととなった。
操舵手はアルヴィンだ。横ではイリスが方角と操舵方法の指示を出している。イリスの示す方向へ、船は海を走る。
(イリスとアルヴィン、近い。なんか面白くねえ)
運転席を覗いていた自身は棚に上げ、ルドガーはデッキのエルとレイアのもとへ行った。
「エル。気分悪くないか」
「へーきだしっ。全然」
「よかった。でも具合悪くなったら近くの誰でもいいから声かけるんだぞ」
「わかってるよー。もー、ルドガーといいエリーゼといい、エルの周りはシンパイショーだらけなんだから。ねえ、ルル?」
「ナァ〜」
「それだけエルが好きなんだよ」
エルはぱっと真っ赤になった。エルはルドガーを小さな力で突き飛ばし、エリーゼのもとへ走って去ってしまった。
「こーらっ」
レイアが軽くルドガーの腕に体当たりした。
「女の子に気軽にスキとか言わないっ」
「まだコドモじゃないか」
「コドモでも女の子なの。エルだって」
「……分かったよ」
「――楽しそうね。何のお話?」
イリスがデッキに出て来た。
「いいのか、出て来て」
「後はまっすぐ進むだけだから、アルヴィン一人でも大丈夫」
海風になぶられる銀髪を、ラバースーツに覆われた手が押さえる。
「1000年、いえ、2000年経っても、海は
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