暁 〜小説投稿サイト〜
イリス 〜罪火に朽ちる花と虹〜
Interview13 アイリス・インフェルノ
「さすが記者のタマゴ」
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「また一歩前進した」と嬉しそうにしていたが、あれはそういう意味だったのか。

「ただ、次元刀の言う通り、その強度は確かなもの。穴を開けるだけのマナを照射したら、イリスは実体を保てなくなるかもしれない。消滅するわけじゃない。でも肝心な時にそばにいられない。それが不安だわ」

 イリスが見つめたのは、ルドガーとエル、それにレイア。クルスニク血統者である自分たちと、契約者。それだけがイリスにとっての不安材料。ジュードらは含まれていない。
 それでもあえてルドガーは口にした。

「俺は安心した。実体化してないなら、傷ついたり血を流したりすること、ないから」
「……イリスは消えていたほうがいい?」
「そうじゃないよ。でもイリスって、自分のこと度外視で突っ込むとこあるから。嬉しいんだけど、同じくらい不安になるんだ。もちろんそういう心配しなくていいなら、いつだってそばにいてくれたほうが俺だっていい」
「ルドガー……ありがとう。本当に優しい子ね」

 イリスはまるで眩しいかのように目を細め、微笑んだ。





 ルドガーらはトリグラフ港に行き、借りられる船を探した。
 分史世界でもクランスピア社は隆盛のようで、ルドガーが社章バッジを見せてエージェントだと名乗ると、大した時間もかからず一隻のクルーザーを調達できた。

 かくして、彼らはクルーザーに乗って海を駆け、断界殻(シェル)を目指すこととなった。

 操舵手はアルヴィンだ。横ではイリスが方角と操舵方法の指示を出している。イリスの示す方向へ、船は海を走る。

(イリスとアルヴィン、近い。なんか面白くねえ)

 運転席を覗いていた自身は棚に上げ、ルドガーはデッキのエルとレイアのもとへ行った。

「エル。気分悪くないか」
「へーきだしっ。全然」
「よかった。でも具合悪くなったら近くの誰でもいいから声かけるんだぞ」
「わかってるよー。もー、ルドガーといいエリーゼといい、エルの周りはシンパイショーだらけなんだから。ねえ、ルル?」
「ナァ〜」
「それだけエルが好きなんだよ」

 エルはぱっと真っ赤になった。エルはルドガーを小さな力で突き飛ばし、エリーゼのもとへ走って去ってしまった。

「こーらっ」

 レイアが軽くルドガーの腕に体当たりした。

「女の子に気軽にスキとか言わないっ」
「まだコドモじゃないか」
「コドモでも女の子なの。エルだって」
「……分かったよ」
「――楽しそうね。何のお話?」

 イリスがデッキに出て来た。

「いいのか、出て来て」
「後はまっすぐ進むだけだから、アルヴィン一人でも大丈夫」

 海風になぶられる銀髪を、ラバースーツに覆われた手が押さえる。

「1000年、いえ、2000年経っても、海は
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ