温泉旅行(後編)
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温泉旅行(後編)
恋也とりとは旅館に戻って来て、りとは荷物は荷物を持ち、恋也は貴重品を持って外に出ようとしていたのだ。
――ガチャリ。
ドアは開かれ、長い廊下を双子と間違えるほど似ている兄弟が歩いて、受付で済ますものを済まして、二階堂旅館を後にした。
りとがよく見ていた「サトコ」は、旅館を出てからはりとに見える事はなく、他愛もない会話もするわけでもないが、兄弟2人は特急電車に乗って、家に帰ろうと駅に向かっている最中に、兄りとが言い出した。
「俺さ、幽霊見てたんだけど……」
「あー……サトコ?」
何故、恋也はサトコの存在を知っているのか、ただ二階堂旅館に関わる心霊等の事を調べていたらサトコに辿り着いたという事。
りと本人は自分しか知らないと思っていた事が恋也に知られており、溜息を零しながら「知ってんなら言えよ……」と拍子を抜かしていた。
それもそうだろう。
恋也も知っていたのなら、1人であんなに怯えていなくても良かったのだろうに。
「何となくサトコのような気はしてたけど、変に言って取り乱して欲しくも無かったし」
空を見上げながら言う恋也はどこか、遠くを見つめており、振り替えって眺めた先は海だという事は隣に居たりとも理解していた。
「ま、安心しろ。サトコはあの旅館に憑いてるから、後を追いかけてくる事はない。アイツもあの場所から動けないんだろ」
「アイツ?」
「いや、何でもない」
アイツとは渡里の事なのだが、渡里も渡里で色々事情がある。
あの場所から動けないと表現してしまうと「自縛霊」と思う人も多いだろうが、決してそういう訳ではなく、ただ単に、その場所が安全だから、安全ではない場所に行けないと言うこと。
渡里の服の下にあるのは多々の痣だろう。
それは会って、渡里が自分の過去について話しているとき、恋也が確信したものだ。
普通ならば下半身は水着で上半身は裸、が男性の水着姿なのだが、季節も季節なので初めはTシャツを着ているのだろうと、判断していたが、話を聞いている内にまだ痣が残っているように感じたんだろう。
「なぁ」
不意に恋也がりとに話しかける。
「1人、住ませてやりたい奴がいるんだけど、どうしたら良い?」
恋也のそんな質問にりとは暫し考えて「恋也の好きなようにしろよ。俺は恋也が楽しそうにしてるのを見るのが好きみたいだ」と、少し自分の告白も混ぜながら述べた言葉は恋也に届いており、恋也は軽く笑みを浮かべつつ「そう言って貰えて感謝する」と聞き流したのか、受け入れたのかは恋也本人しか分からないようにした。
二階堂駅に着けば、切符を買い、特急列車で最寄り駅まで帰る。
その道中、お互い見たことのある老夫婦に出会い、話し、そして、六条道家に新たな人が住んだのは、また
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