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温泉旅行
温泉旅行(中編/最終日)
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り後悔の理由は聞きたいとは思わない。

「丹神橋高校に入学した元クラスメイトで友達って言ったら、周りの奴ら皆おど――」
「見んな喋んなそれ以上近付くな」

言いたい事が分かった所で、その先は聞かない方が良いだろう。
大分聞きなれた言葉でも、やっぱり嬉しい言葉ではない。
『名門高校に友達が居るって言ったら、周りの見る目が変わる』なんて中学の時に散々理解した。
周りは一気に態度を変え俺の元へ集って来た。
その姿に吐き気を催し、同時にくだらない生き物だと思った。

「どうせお前は自分が良く見られたいが為に、俺と仲良くしていれば良かったなんて思っているんだろ。分かってんだよ、お前みたいな奴が考える事なんて、くだらない事だってな」
「えっ……?」

状況を把握していないのか、目が点になって一歩後ろに下がって、焦ったような表情を浮かべている。
ここから先は俺のセリフだと思う。
特に重要でも何でもない、ただのセリフだ。
過去を述べたセリフなので、読み飛ばしても構わない。

「お前はいつもクラスで1番強くて、1番頼りになる奴で、周りには仲良しな奴が沢山いて、自分が強い事を見せ付けたかったのか、俺に放課後掃除を押し付けたり、時には殴ったりしてたけど、そんなに楽しかったのか? 俺を殴ったりするのが? 変わった趣味の奴だな。頭が可笑しいにも程があるだろ。っで、挙句の果てには俺と仲良くしてなかったのを後悔して、お前、何様のつもりなんだ?」

今にも殴りそうになったが、コイツを殴ったところで、俺に何の得もない。
だからその場から去ろうと渡里の横を通り過ぎた時にふと僅かに、消え入るような声が聞こえてきた。

「【修学旅行】……、行けなかったんだ」

渡里はそれから続けた。
自分の過去を、続けて話した。

「中学3年の時に高熱を出して、修学旅行に行けなかった。俺さ、中学の時苛められてたんだ。学校に行けば殴られて、家に引きこもっていたら、心配だからと嘘を言って家まで来たクラスメイトが、俺を連れ出して道端で殴られた。そのせいで修学旅行の前日に熱を出した。悔しかった。俺が行きたかったところだったから余計に悔しくて仕方なかった。その日は泣いて過ごしたんだ。その時俺は、恋也を思い出した。俺と同じように熱を出して、修学旅行に行けなかったのに、俺はそれを理由にして恋也に色々した。許される事ではないと思っている。だけどな、俺は、クラスメイトが丹神橋高校に入学したのを理由に、してまで、俺は自分自身を良く見て欲しいなんて、思ってない」

それだけ言って足音が聞こえた。
俺に何も返すな、という事なのだろうか。

振り返って見るとTシャツに水着と言う渡里の姿が、とても成長したように見えたのは目の錯覚ではなかったのだろう。

彼もまた何かをキ
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